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「カナレットとヴェネツィアの輝き」(SOMPO美術館)開幕レポート。巨匠カナレット日本初の回顧展【3/3ページ】

 最後に3Fの展示室では、カナレット没後における、ヴェネチアの景観を描いた作品群を通して、ヴェドゥータがどのように継承され、近代の空気感のなかで変容していったかを見ることができる。

 19世紀になると、カナレットが描いた都市景観にあこがれ、数多くの画家たちがヴェネツィアを訪れ、都市の風景を絵に描き残した。しかし、個々の画家の感覚やスタイルによってその表現方法は大きく変わっている。カナレットは、よく晴れた明るい画面で運河沿いの開けた眺望を好んで描いたが、これに対して近代の画家たちは、夜の風景や街中の名もなき路地裏を取り上げるなど、多様なアプローチでヴェネチアを描こうとした。

展示風景より、左からウィリアム・エティ《溜息橋》(1833-1835、ヨーク美術館)、ジェイムズ・ホランド《ヴェネツィアの思い出》(テート)

 とくに圧巻なのが、展示の最後を飾るフランスの近代画家による作品群だ。晩年のモネが見せた豊かな色彩感覚や、シニャックが表現したビビッドな点描など、画家それぞれの個性が際立っている。

展示風景より、左からクロード・モネ《サルーテ運河》(1908、ポーラ美術館)、《パラッツォ・ダーリオ、ヴェネツィア》(1908、ウェールズ美術館)、ポール・シニャック《ヴェニス、サルーテ教会》(1908、宮崎県立美術館)

 本展では、スコットランド国立美術館が所蔵する名品をはじめ、初来日作品も多数登場。撮影可能な作品も多数用意されているので、展覧会場で配布されるSOMPO美術館オリジナルの鑑賞ガイドを片手に、旅気分に浸りながらヴェネツィアへの時間旅行を楽しんでみてはいかがだろうか。

編集部

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