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「寺山修司展」(世田谷文学館)開幕レポート。寺山修司の世田谷時代──演劇実験室「天井棧敷」に注目【2/3ページ】

 第1章では、演劇実験室「天井棧敷」の設立とその活動を様々な資料から紹介している。天井棧敷は、新婚間もない頃の寺山が家出した少年少女を下馬の自宅前にあるマンションに劇団員として迎え入れたことで設立されており、戦争で父を亡くしたあと母子家庭で育った寺山にとって新しい「家」の在り方を模索したのではないかと同展では考察されている。

 会場には、当時の演目に関する原稿や台本、そして横尾忠則宇野亜喜良によるポスターの数々が陳列。また、2005年の同館常設展リニューアルの際に、寺山の映画美術を担当していた榎本了壱により制作された天井棧敷の室内の様子を描いたポスターも展示されており、劇団員たちが当時どのように過ごしていたかについても理解を深めることができるだろう。また、寺山が手がけた映画作品に関する構成案やポスターといった資料もあわせて紹介されている。

展示風景より。展示資料の大半は、天井棧敷でもトップスターとして活躍した女優・新高恵子によるものだという。新高が出演した作品の資料や当時の新聞記事などがスクラップとして残されている
展示風景より。寺山が晩年の1982年に手がけた映画『さらば箱舟』(1984年公開。原題『百年の孤独』を改題)と、81年に舞台上演した『百年の孤独』双方の台本を比較するコーナーも。演劇では上演されなかったシーンを、映画作品で採用したことを示す資料も展示されている

編集部

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