T2 Collection「Collecting? Connecting?」(WHAT MUSEUM)開幕レポート。コレクションのテーマは「コンセプチュアル」【3/3ページ】

 2階にも多くの作品が展示されている。高橋のコレクションの原点ともいえるのがベルナール・フリズ《Mora》(2014)だ。やわらかなグラデーションの虹のようなストライプは、フリズの意図した偶然性が生んだものとして、鑑賞者に体験を与える。

展示風景より、左からライアン・サリバン《Blue Painting》(2019)、ニール・ホッド《The Life We Life Behind》(2022)、ベルナール・フリズ《Mora》(2014)

 ストリートのグラフィティや、街でみかけるキャラクター、そしてサンフランシスコのホームレスなどをモチーフとした図像を平面上に巧みに構成したバリー・マッギーの絵画《Untitled》(2013)。そこには加速し続ける商業主義の断片と、それを消費者として求める人々の思考が現れている。

展示風景より、左からベルナール・フリズ《More》(2014)、松山智一《Baby,It's Cold Outside》(2017)、バリー・マッギー《Untitled》(2013)

 ほかにも、江上越が高橋とコミュニケーションをしながらつくりあげたという《にじいろ―Kusano Takafumi》(2021)や、松山智一の大型絵画、キャンバスというフレームを脱構築する小林正人の絵画など、思考をうながす平面作品が並ぶ。

展示風景より、中央が小林正人《Unnamed #10》(1998)、右が江上越《にじいろ―Kusano Takafumi》(2021)

 立体やインスタレーションは2階でも多彩なラインナップとなっている。見る角度によってその記号性が様々に変化する、抽象彫刻の先駆者である堀内正和《平面 N-A》(1962)や、不織布で小さな石をくくり天井から無数に吊り下げ不安定な作業の積み重ねを可視化する長田綾美《floating ballast》(2022)、写真作品の中央に置かれた名和晃平のカメラをモチーフとした《PixCell-Camera》など、ぜひ視点を変えながら発見を楽しんでほしい。

展示風景より、右が堀内正和《平面 N-A》(1962)
展示風景より、長田綾美《floating ballast》(2022)©Ayami Nagata
展示風景より、手前が名和晃平《PixCell-Camera》(2021)

 アレックス・ダ・コルテの《The Open Window》(2018)は、作家指定のもと、会場内につくられた部屋のなかで見ることができる。ホラー映画の要素と、その表象から生まれる恐怖を、人間の持つ欲望の原理に肉薄しながらあらわにしていく作品だ。椅子に座りながら対峙してみてはいかがだろうか。

 なお、「WHAT MUSEUM」では本展と同時開催で、直径12メートルのバルーン状彫刻が体験できる奥中章人「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」展も開催されている。併せて楽しんでみてはいかがだろうか。

WHAT MUSEUM展示風景 奥中章人「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」展
©Akihito Okunaka

編集部

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