会場のエントランスでは和田礼治郎《STILL LIFE》(2024)が展示され、高橋がコレクションにおいて重視する「コンセプチュアル」というキーワードを端的に伝える。生の果実とブロンズの果実を混在させ、ガラスと組み合わせた本作は、時間とともに朽ちていく生の果物と、変化することのないブロンズの果物を同居させることで、時間や生命についての思考を喚起している。
宮島達男《Painting of Change - 003》(2020)は、鑑賞者自身がサイコロを振り、出た目の数字に合わせてデジタル数字を構成する7本のバーを変化させる作品。変化し続ける時間と、それに影響を与えようとする人間の能動性の緊張感が表現されている。
やんツー「遅いミニ四駆」シリーズ(2021)は、本来速さを競う玩具である「ミニ四駆」の概念を変え、どれだけ遅く走れるかを競う競技へと変化させる、価値観の転換を図る作品だ。