国立民族学博物館教授の広瀬浩二郎は、日本の瞽女(ごぜ)を紹介。盲目の旅芸人・警女は、室町時代の文献に登場し、江戸時代には瞽女の集団が全国へと広がっていた。中世においては鼓にあわせて『曾我物語』を語っていたが、江戸時代以降は三味線を用い、娯楽の少ない農村にエンターテイメントを届け、治療師やカウンセラーとして活躍するようになる。
ここでは瞽女がどのような荷物を持って旅をしていたのか、彼女たちはどのように歩いていたのか、原作となる物語を唄としてどのように練り上げ再構成していったのかなどを紹介。さらに「見えない世界をみる」という瞽女の文化から、現代社会が学ぶ方法のヒントも提示される。
京都在住のラッパー/語り部である志人の活動を紹介するのは京都大学特任研究員の矢野原佑史だ。志人は日本古来の韻律を現在進行形で更新しつつ、「なつかしい未来」の表現を試みている。日本語における韻律とは何か、その発想源はどこにあるのか、志人の制作環境やテキストから探る。