2027年度中までオーチャードホールを除いて長期休館している複合文化施設「Bunkamura」。ここでアーティスト・西野達、サウンドアーティスト・evalaによる新作インスタレーションが発表された。会期は3月24日まで。
この展示は、同時開催中の「渋谷ファッションウイーク2024春」(3月15日〜24日)の一環として行われるもの。昨年の「ハチ公の部屋」でも話題を呼んだ西野は、Bunkamura建築のシンボルともいえる地下1階に広がる吹き抜けでインスタレーション作品《ミラーボールファニチャー》(2024)を発表。同作では、Bunkamuraのラウンジで使われていた椅子や、控室のロッカー、ポスターを立てかけるためのイーゼル、コンサートホールで使われていた譜面台などの家具や什器にミラーを貼り付けて、ミラーボールとして再構成されている。
作品のなかには、Bunkamura ザ・ミュージアムで行われた展覧会のカタログのなかから選りすぐられた2冊や、今回の「ファッションウイーク」のテーマと呼応したバッグや洋服もミラーを貼り付けて使われている。風があるときには、作品は空中でゆるやかに回転し、ミラーの表面を照らす光が吹き抜け空間に映し出され、Bunkamuraが35年以上にわたって放ち続けてきた「文化の光」を象徴している。
いっぽうのevalaは、旧Bunkamura Studioの跡地でサウンドインスタレーション《Sprout》(2024)を展示。昨年閉鎖した同スタジオは、1990年代より数々の名曲を生み出してきた場所として様々な音楽家から愛されてきたが、一般の人々にとってはあまり知られていないだろう。
床に張り巡らされているケーブルは、ツタや草花が大地に広がり、新しい芽吹きが生まれている現象を象徴。100円均一で購入された大量のスピーカーは刻々と変化していく立体音響を生み出しており、その音は会場に立つ鑑賞者の体のなかにも突き刺さったりし、また新しい鑑賞体験が生まれる。
また会期中に、Bunkamura 内の旧Book Shopが9日間限定のポップアップストアとして生まれ変わる。ファッションデザイナーや建築家、写真家、アーティストなどのクリエイターやアート系ブックストアなどが、それぞれの蔵書のなかから厳選したアートブック、写真集、マルチプル作品などが販売されており、売り上げの一部は令和6年能登半島地震の被災地へ寄付される。
なお、「渋谷ファッションウイーク2024春」のプログラムとしてはファッションデザイナー・中里唯馬がバイオベンチャー企業「Spiber」とコラボレーションした街なかインスタレーション(3月17日〜24日、渋谷駅東口地下広場)や、日本の伝統工芸「水引」からつくられるオリジナル衣装を渋谷ハチ公像が3日間限定で着想する展示(3月17日〜19日、渋谷駅 渋谷ハチ公像)なども展開される。合わせてチェックしてみてはいかがだろうか。