大巻伸嗣が舞台美術、evalaが音楽。DaBYダンスプロジェクト『Rain』に見る曖昧な間柄
愛知県芸術劇場とDance Base Yokohamaによるダンスプロジェクトから、鈴木竜、大巻伸嗣、evalaの協働による『Rain』のツアーが決定。サマセット・モームによる短編小説『雨』から着想を得た本作は、東京・新国立劇場で8月4日〜6日に行われる東京公演をはじめ、全国各地で計7回の上演を予定している。
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愛知県芸術劇場とDance Base Yokohamaによるダンスプロジェクトから、鈴木竜、大巻伸嗣、evalaのコラボレーションが堪能できる公演『Rain』のツアーが決定。上演は、東京・新国立劇場で8月4日〜6日、愛知・幸田町民会館で8月18日、福岡・J:COM北九州芸術劇場で8月27日に、全7回予定されている。
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「DaBYダンスプロジェクト」は、日本のダンス界をリードしてきた愛知県芸術劇場と、グローバルに活躍するダンスアーティストを養成するダンスハウスDance Base Yokohamaが連携して開催してきたダンスシリーズ。今回ツアーの開催が決まったのは、今年3月に愛知県芸術劇場にて初演を迎え、多様な視点からの反響が集まった『Rain』。
イギリスのサマセット・モームによる短編小説のなかでも傑作と呼ばれる『雨』を題材とする本作は、DaBYアソシエイトコレオグラファーの鈴木竜が演出・振付を担当。新国立劇場バレエ団プリンシパルの米沢唯、クラシックバレエやストリートダンスなどで活躍するダンサーたちとともに、作品をつくり上げた。
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舞台美術は、「存在」とは何かをテーマに制作活動を展開し、弘前れんが倉庫美術館にて開催中の個展「大巻伸嗣―地平線のゆくえ」で注目を集める現代美術作家・大巻伸嗣が手がける。今回は《Liminal Air - Black Weight》(2012)を原案に、舞台上のダンサーと対峙しながら、曖昧でとらえどころのない「存在」 に迫るための身体的時空の創出を試みる。
大巻は、 今回の舞台美術について 「実際に踊っているダンサーたちにとって、その奥行きや他のダンサーたちの位置などが全くつかめない状況を作っている。ただ、それが与える不自由さこそ、人間の身体機能の超感覚を呼び起こし、生命体としての力を発揮させる。ダンサーが見せてくれるその身体の可能性が、観客の身体をも巻き込んでいくと思います」 と語っている。
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音楽は、サウンドアーティストのevalaが担う。evalaは、立体音響を駆使した独自の“空間的作曲”によって聴覚体験の新しい可能性をひらく活動を展開し、現在NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]にて開催中の「ICCアニュアル ものごとのかたち」に出展している『大きな耳をもったキツネ』などの代表作でも知られる。
今回は、本作のために全編新作を書き下ろしている。また、会場の音響を含めた空間全体のサウンド・コンポジションもevalaが行っており、「声帯の雨や、言語の雨といった、現実にはありえない音と響きが劇場全体をみたしていく。原作の雨のようにずっと振り続け、湿度のようにまとわりつく、みえない空間の重みを表現したい」と語っている。
本作のもとになっている『雨』は、感染症により閉じ込められたひとつの島で起こる人間模様がテーマの物語。原作では明示されない関係性や曖昧な描写を、ダンス・美術・音楽によって巧みに表現した初演が、さらにアップデートした今回のツアー。ジャンルを超えた気鋭のアーティストとDaBYのダンサーの協働によって生まれる劇場体験に、期待が高まる。
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