坂本龍一+高谷史郎のインスタレーション《water state 1》が東向島で開催。水の波紋と音で表現する地球のダイナミズム
音楽家・坂本龍一と美術家・高谷史郎の共作インスタレーション《water state 1》が、東京・東向島で9月5日まで事前予約制で公開されている。
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隅田川の南北約10キロメートルをひとつの舞台に見立てた、音楽とアートのフェスティバル「隅田川怒涛」。そのプログラムのひとつである、音楽家・坂本龍一と美術家・高谷史郎の共作インスタレーション《water state 1》が、9月5日まで東京・東向島で公開されている。
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《water state 1》は、地球上の生命を支える根源的な物質である水から様々なインスピレーションを得てきた坂本が、高谷と共作した作品で、2013年に山口情報芸術センター(YCAM)で初公開された。
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東向島の工務店の隣の建物を使用した展示室に入ると、空間の中央には表面に水が張られた黒い立体が佇んでおり、その周囲には石が置かれている。山口情報芸術センターの「YCAM InterLab」が開発した、水滴をコンピューターで制御し自在に落下させることができる装置が立体の表面に水をしたたらせ、坂本が細密に設計された音ととともに様々な波紋を生み出す。
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この波紋のパターンは、日本近辺をとらえた気象衛星の写真に映った1年間の降雨の場所をトレースするかたちで配置されている。高谷によれば「滴り落ちる水を鑑賞者が見るだけでなく、鑑賞者を取り巻く広い環境もふくめて、パターンとして落とし込むことを目指した」という。
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石と水という日本庭園を想起させるような展示空間も、インスタレーションの静謐な印象を強くする。使用されている水は隅田川から実際に取水をしたもの。また、配置された石も隅田川の源流である荒川の上流にある秩父から持ち込まれたもので、古くは3億年も前のものだという。こうした素材を使用することで、隅田川沿いのこの地ならではの土地性が作品に付与されている。
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インスタレーションは1回30分ほどとなっており、波紋のパターンは毎回変化。音と波紋が主役となる静かでシンプルな展示だが、気象という地球規模の現象を射程にいれるダイナミズムが生まれている。
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展示は完全予約制で、予約可能な観覧日はウェブサイトより確認することができる。この貴重な機会に、ぜひ展示を体感してみてほしい。