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磯崎新による建築空間とともにピピロッティ・リストの映像世界を味わう。「ピピロッティ・リスト」展が水戸で巡回開催

今年6月まで京都国立近代美術館で開催された現代アーティストのピピロッティ・リストの大規模個展「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」が、水戸芸術館現代美術ギャラリーで巡回開催される。プリツカー賞の受賞建築家・磯崎新が設計した展示空間でリストの活動の全体像を通覧する。

展示風景より

 今年6月まで京都国立近代美術館で開催された、スイスを代表する映像作家ピピロッティ・リストの大規模個展「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」が水戸芸術館現代美術ギャラリーで巡回開催される。

展示風景より、《4階から穏やかさへ向かって》(2016)

 展覧会では、身体や女性としてのアイデンティティをテーマにした初期の短編映像作品から、ヴェネチア・ビエンナーレに出品された代表作、近年の大型インスタレーション、そして本展開幕の数日前に完成し、本展では初めて公開された最新作まで40点近くの作品を通じて、リストの約30年間の活動の全体像を通覧する。

展示風景より、1997年のヴェネチア・ビエンナーレで若手作家賞プレミオ2000を受賞した《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》(1997)
展示風景より、本展で初めて公開された最新作《冬の風景》(2021)

 出品作品は京都での展覧会と大きく変わらないが、水戸芸術館現代美術ギャラリー学芸員・後藤桜子は8月6日に行われた内覧会で、「建築物としてまったく違う構成になっているふたつの空間なので、ピピロッティ・リストのどのような面をそれぞれ見せることができるのかということを議論しながら展覧会の構成や作品の選択を行った」と話す。

 京都国立近代美術館の展示室は天井高が4.2メートルで統一された均整のとれた空間だったが、水戸芸術館の展示室は天井高が3メートルから10メートルまでとバリエーションがあり、各展示室が異なる特徴を持つ空間となっている。

展示風景より、《アポロマートの壁》(2020-21)と《イノセント・コレクション》(1985-2032)

 例えば、展示空間に食卓やソファ、照明器具など実際の家具を配置し、美術館の展示室をリビングルームのように再現した「アパートメント・インスタレーション」は、天井高の低い展示室を入り口とすることで、ある種の親密な状態を保った鑑賞体験が生まれる。

展示風景より、手前は《愛撫する円卓》(2017)

 天井から様々な高さに吊られた鏡面状の球体と壁面に映し出される植物の映像によって構成されるインスタレーション《眠れる花粉》(2014)は、同館の中心部にある塔状の展示室を使って展示。後藤は「洞窟のようなかたちで見せることで、光がより自由に動き回るような空間をつくろうと作家と話し合った」としている。

展示風景より、《眠れる花粉》(2014)

 また、メインの展示室を出た別室では、リストのデビュー作《わたしはそんなに欲しがりの女の子じゃない》(1986)をはじめ、1980年代〜90年代前半の短編映像作品も上映されている。これらの作品も忘れずにチェックしてほしい。

展示風景より、デビュー作《わたしはそんなに欲しがりの女の子じゃない》(1986)

 プリツカー賞の受賞建築家・磯崎新が設計し、大きさがそれぞれ異なる個性的な展示室を持つ水戸芸術館現代美術ギャラリー。そこの空間で、映像表現の新境地を切り開いたピピロッティ・リストの作品世界を堪能したい。

展示風景より
展示風景より

編集部

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