ルイ・ヴィトンが日本国内初の直営店として1981年にオープンさせた東京の銀座並木通り店。その店舗が3年におよぶ建て替え工事を経て全面リニューアルした。
まず特徴的なのはそのファサードだ。数々のルイ・ヴィトン店舗を手がけてきた青木淳によるこのデザインは、かつて海に突き出た砂洲だった銀座を想起させる「水」からインスパイアされており、波打つ水面のよう。この有機的な外装は、無限のカラーバリエーションを生み出すダイクロイック加工されたガラスで覆われており、時間ごとに表情を変えていく。
店舗の開口部は2フロア分の高さで設けられており、街角に沿って曲線を描きながら、街と店内をつなぐ。建物は7階で、1〜4階は店舗スペース。1〜3階がウィメンズおよびアクセサリー、トラベル、フレグランスのフロアとなり、4階がメンズで構成されている。
またプライベートサロンは6階に設けられ、最上階の7階にはシェフ・須賀洋介とメゾン ルイ・ヴィトンとの2度目のコラボレーションとなる「LE CAFE V(ル・ カフェ・ヴィー)」が誕生した。
ピーター・マリノによる店内デザインも外観と同じく、海や水を連想させる曲線が多用されている。例えば店内中央に象徴的に存在する階段は、彫刻を施したオーク材がまるでリボンのようにうねり、広がる。またカウンターや天井パネル、あるいはモルテン・ステンベークやイサム・ノグチによる丸みを帯びた家具類など、店内はいたるところに曲線が見られ、水の流れのように空間をシームレスにつないでいく。
また店舗の後方にある2つ目の階段にはも注目だ。4フロア分の吹き抜けであるこの場所には、ニューヨーク在住のアーティスト・藤村喜美子の絵画《Wave Blue Line》(1977)を石膏で再解釈した巨大な壁があしらわれており、その名の通り波が揺らいでいるかのような空間となった。
これまでのどのルイ・ヴィトン店舗とも違うユニークなデザインで生まれ変わった銀座並木通り店。ショッピングとともに建築デザインもじっくり堪能したい場所だ。