金沢の私設美術館「KAMU Kanazawa」、ふたつの新スペースに注目

実業家でアートコレクターの林田堅太郎が設立した私設美術館「KAMU Kanazawa」が、市内にふたつの新スペースをオープンさせた。

KAMU skyの展示風景より、久保寛子《泥足》(2020)

 今年6月、実業家でアートコレクターの林田堅太郎が石川・金沢市の中心部に開館した美術館「KAMU kanazawa」。レアンドロ・エルリッヒの巨大な常設作品でも話題を集めるこの美術館が、新たにふたつの展示スペースをオープンした。

KAMU Kanazawaのレアンドロ・エルリッヒ《INFINITE STAIRCASE》(2020)

 10月24日にオープンしたのは、「KAMU BlackBlack」と「KAMU sky」だ。まずKAMU BlackBlackは、金沢市の中心部にある竪町商店街の一角に位置するスペース。金沢の町屋文化を感じさせる土地を活用した、幅3メートル、高さ7メートル、奥行き20メートルという細長いかたちの空間となっている。

KAMU BlackBlack

 こけら落とし展としては、ドイツを拠点に活動するオーディオビジュアルアーティストの黒川良一が空間を生かした新作インスタレーション《Líthi》を展示している。

 《Líthi》は、レーザー、サウンド、ストロボライトで構成された、没入型の大型インスタレーション。観客の頭上をレーザー光線が飛び交い、音と光が空間を満たすダイナミックな作品となっている。また11月にはこの展示にあわせて金沢地方限定で黒川作品を用いたテレビCMも放送予定。作品を街中だけでなく、家庭にまで広げていくことを試みる。

KAMU BlackBlackの展示風景より、黒川良一《Líthi》(2020)

 いっぽうの「KAMU sky」は、香林坊東急スクエアの屋上にオープンした野外展示スペース。金沢の街を一望するこの場所でアート作品が展示されるのはこれが初めてとなる。

KAMU sky

 こけら落としとなったのは、様々な芸術祭で巨大な作品を発表して注目を集める久保寛子による大型彫刻作品《泥足》。金沢で初展示となる本作について、林田は「昔から(久保の作品を)展示したいと考えていた。徒歩で金沢の街を回遊する仕掛けづくりに取り組むKAMUを象徴するアイコニックな作品」だと語る。

KAMU skyの展示風景より、久保寛子《泥足》(2020)

 林田によると、KAMU Kanazawaはさらなるスペースの設置も予定しているという。作品をコレクションするだけでなく、それらを街に開くというこの事業。今後の展開から目が離せない。

編集部

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