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現代美術で金沢を活性化する。コレクターによる私設美術館「KAMU kanazawa」が開館

金沢21世紀美術館から徒歩1分という至近距離に、個人コレクターが建てた美術館「KAMU kanazawa」が開館した。

展示風景より、桑田卓郎の作品群

 金沢21世紀美術館から徒歩1分という好立地に、私設美術館「KAMU kanazawa」が開館した。

KAMU kanazawa 提供=KAMU kanazawa

 この美術館は、アートコレクター・林田堅太郎がオープンさせたもので、既存の建物を改修し展示スペースとしたもの。館内は3階構造となっており、全フロアで異なる作品を見ることができる。

 こけら落としとして開催されているのが、「The power of things」だ。同館のコレクションの中核をなす⽴体とインスタレーションのジャンルから、レアンドロ・エルリッヒ、桑⽥卓郎、ステファニー・クエールの3作家の作品を展示。

KAMU kanazawaの1階の様子

 1階にはレアンドロ・エルリッヒによる新作のインスタレーションが展示される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で制作が一時的にストップしたため、現在は実物大の図面を展示。同じ室内には、レアンドロの関連する小作品が展示されているので、まずはこちらを鑑賞し、完成を待ちたい。

展示風景より、レアンドロ・エルリッヒ《階段》

 2階にはステファニー・クエールの動物をモチーフとした立体作品が並ぶ。様々な角度から眺め、動物の仕草や配置に注目したい。またクエールの作品はここだけでなく、館内の様々な場所に配されているので、ぜひ見つけてほしい。

展示風景より、ステファニー・クエールの作品群

 3階は、セラミックアーティスト・桑田卓郎の展示だ。ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018で特別賞を受賞し、ロエベの2020〜21年秋冬コレクションではクチュールとコラボレーションするなど、活動の幅を広げる桑田。本展では、2009年〜20年につくられた大小色とりどりの21点を展示することで、桑田の作品の変遷を見ることができる。

展示風景より、手前から桑田卓郎《茶垸》(2020)、《茶垸》(2017)、桑田卓郎《茶垸》(2013)
展示風景より、手前から桑田卓郎《Untitled》(2015)、《Untitled》(2015)

 このスペースをオープンさせたアートコレクターで同館ディレクターの林田堅太郎は、「アート関係者に金沢がおもしろい街だという意識を持ってもらい、輪が広がるようにしたい」と意気込む。「金沢21世紀美術館とは“お隣さん”のような感覚で協力しあう関係を築きたい。街のためにアートで盛り上げていく」。

 開館の背景には、コレクターとしての矜持もあった。「『アートコレクター』というものが身近にいるということを世の中に広めないといけない。そうすることでアートマーケットも広がっていく。コレクターにも様々なスタイルがあるが、ここはその一例となれればいい。アーティストとコレクターがつながったりするバブのような存在を目指したい」。

 この本館だけでなく、9月末には2つ目のスペースをオープンさせる計画がすでに進んでいる。またその後も展示に適切な場所が見つかれば、新たなスペースをオープンさせたいと話す林田。こうした活発な動きに周囲の美術館も連携し、これまでにないプログラムを見せてほしい。

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