国内の現代美術を扱うギャラリーにより組織される一般社団法⼈日本現代美術商協会(CADAN)が、初となるリアルスペースを東京・有楽町にオープンさせた。
新スペースの名前は「CADAN有楽町」。場所はペニンシュラホテルにほど近く、丸の内仲通りに面した好立地だ。
ガラス張りの開放的なファサードが印象的なこのギャラリーは、CADANのメンバーギャラリーがキュレーションを担当。こけら落としは、WAITINGROOM代表の芦川朋子によるグループ展「CADAN Showcase01 NEWSPACE/NEWCOLLABORATION」だ。同展では、「次の時代を背負い、世界で活躍していく⽇本⼈」を主軸のひとつとして、作家がセレクトされた。
参加作家は今津景(ANOMALY)、⼤⽵利絵⼦(小山登美夫ギャラリー)、 サイモン・フジワラ(TARO NASU)、松⼭智⼀(KOTARO NUKAGA)、⼤庭⼤介(SCAI THE BATHHOUSE)、近藤亜樹(シュウゴアーツ)、泉太郎(Take Ninagawa)、桑⽥卓郎(KOSAKU KANECHIKA)、⼤⼭エンリコイサム(Takuro Someya Contemporary Art)、エキソニモ(WAITINGROOM)となっている。
以降、3回にわたってグループ展を開催し、CADANのメンバーギャラリーを網羅的に紹介。その後は、各ギャラリーの持ち回りで企画展を行っていくという。
このスペースが誕生した背景には、三菱地所の存在がある。大手町、丸の内、そして有楽町という東京でも屈指のビジネス街をマネジメントする三菱地所は、今後現代美術への取り組みを強化していく考えを示しており、CADAN有楽町はその第一弾という位置づけだ。
三菱地所のプロジェクト開発部有楽町街づくり推進室副室長・有光頼幸はこう語る。「アートでビジネスマンに対する刺激や、いい意味での違和感を与えたい。コロナ禍の時代、街に来る意味を考えるきっかけにもなれば」。
このスペースは、ギャラリーにとっても大きなチャンスだ。CADANの代表理事・小山登美夫は「こんなビジネスの中心地にギャラリーを持つのは僕たちの夢だ」と話す。「ここだと一般のビジネスパーソンにもアピールできるし、現代美術に興味を持ってくれれば嬉しい。ギャラリー同士の横のつながりも強化していきたい」。
CADANは近年、合同でアートフェアを開催したほか、伊勢丹とタッグを組んだポップアップイベントを行うなど、活発な動きを見せている。リアルスペースが誕生したことで、これまでにない活動が期待される。
いっぽうの三菱地所も、TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHとともに工事中の仮囲いで作品を見せるプロジェクトを行っているほか、TOKYO ART BOOK FAIRのコーナーを有する多機能型の市場「micro FOOD&IDEA MARKET」など、これまでにない取り組みを始めている。
今後も続く有楽町の再開発。今回の三菱地所とCADANのタッグを皮切りに、有楽町におけるアートを軸とした取り組みを注視していきい。