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リヒターの日本初公開作品も。京都・清水寺で「CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート展」を目撃せよ

ICOM京都大会を記念し、世界遺産・清水寺で展覧会「CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート展」が開幕した。本展の監修は、小説家の原田マハ。9月1日〜8日の8日間限定で行われる本展のハイライトとは? 

 

加藤泉《無題》(2019)の展示風景

 世界遺産・清水寺という日本でも屈指の観光地に、古今東西のアートが並ぶ機会がやってきた。

 「CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート」と題された本展は、キュレーターとしての経歴も持つ作家・原田マハが総合ディレクターを、神戸の芸術祭「アート・プロジェクトKOBE 2019:TRANS-」のディレクションも担う林寿美がコ・キュレーターを務める。

 今回の会場となるのは、清水寺のなかにある成就院と経堂、西門そして馬駐だ。

 まず驚かされるのは、重要文化財・西門に展示された、加藤泉による高さ6メートルにおよぶテキスタイル立体作品《無題》(2019)だろう。原始生命体を思わせる加藤独自のモチーフ。本作は、これまで北京のレッドブリック美術館や、ハラ ミュージアム アークと原美術館で同時開催中の「LIKE A ROLLING SNOWBALL」展でも見られる、布を主な素材とした作品。今回の展覧会にあわせてつくられたもので、不思議と西門に溶け込み、来観者を見下ろしている。

加藤泉《無題》(2019)の展示風景

 今回、作品の多くが展示されているのは、「月の庭」と呼ばれる名庭を有する成就院だ。ここは通常非公開の場所。会場には、川端康成の直筆原稿からジャコメッティの彫刻、ヨーゼフ・ボイスの黒板、三嶋りつ惠のインスタレーション、荒木悠の映像作品まで、多種多様な作品を見ることができる。

展示風景より、ヨーゼフ・ボイス《アクション「コヨーテⅢ」で使用された黒板》(1984)
展示風景より、三嶋りつ惠《光の目》(2017)
展示風景より、荒木悠《戯訳「聖なる都・京都」》《戯訳「日光霊山」》《戯訳「江戸」》(ともに2019)

 そして、巨大な龍の天井画が特徴的な重要文化財・経堂は、ゲルハルト・リヒターの作品だけで構成。本尊である釈迦三尊像とともに、ガラスを使った立体《8枚のガラス板》(2012)と、今回が日本初公開となる映像作品《Moving Picture(946-3), Kyoto Version》(2019)が展示されている。

 とくにこの映像作品は、本展でもっとも注目すべきものだ。

 本作は、リヒターとコリンナ・ベルツ、レベッカ・サンダースによる共同作品。映像は、リヒターの平面作品であり、かつての自身の油彩画をデジタル加工した「Strip」シリーズがベースとなっており、超高精細で映し出される色彩の束が、止まることなく変化し続ける。そこに現れるのは、きわめて複雑な「動く絵」であり、宗教画にも見える新たな抽象画が、絶えず生成されていく。また映像とともに流れる音楽は、その場で演奏されるものであり、ここだけの貴重な体験ができる。

 清水寺という観光地で、このサイトスペシフィックな展覧会をぜひ目撃してほしい。

展示風景より、ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス板》(2012)

編集部

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