平成が終わる2019年4月30日を前に、東京国立博物館で天皇皇后両陛下ゆかりの品々を展覧する特別展「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」が開幕した。
本展は、皇室ゆかりの優品や国宝・重要文化財を国内外へと広く伝えることを目的とした文化庁、宮内庁、読売新聞社の共同プロジェクト「紡ぐプロジェクト」の一環。東京国立博物館で宮内庁所蔵の作品がまとめて展覧されるのは、2009年に行われた御即位20年記念 特別展「皇室の名宝-日本美の華」以来10年ぶり。
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会場冒頭を飾るのは、「大饗の儀」において天皇皇后両陛下の御座の左右を飾るためにつくられる作品《悠紀(ゆき)・主基(すき)地方風俗歌屏風》(1990)のうちのひとつである《悠紀地方風俗歌屏風》。「悠紀国(京都以東)」と「主基国(京都以西)」とは、大嘗祭で神に供えるための新穀を献上する地域のことで、平成ではそれぞれ秋田県と大分県が選ばれた。作画を担当したのは、東山魁夷と高山辰雄。本展では展示替えを挟んで二人の作品を見ることができる。
その隣にあるのは、天皇陛下誕生の際に衆議院議員一同が贈ったという堂本印象の6曲一双屏風《霊峰飛鶴》(1935)が並ぶ。鶴と富士という、慶事を象徴するモチーフがダイナミックに描かれた作品だ。
こうした記念碑的な作品に加え、本展では天皇皇后両陛下が外国訪問の際に紹介した作品を展覧。飛翔する鳳凰と旭日を彫り込んだ海野勝珉による一対の花瓶《丹鳳朝陽図花瓶》(1915)、全長約320メートルにもおよぶ岩佐又兵衛筆の大作絵巻《小栗判官絵巻》(17世紀)などが並ぶ。
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また、皇后陛下が1990年より行っている養蚕を軸にした作品や資料にも注目したい。本展では、今回が日本初公開となる二つの着物《赤縮緬地吉祥文様刺繍振袖》(1935)、《黒紅綸子地落瀧津文様振袖》(1938)を展示。
これら貴重な美術品を通して、平成の30年間を振り返りたい。
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