NEWS / REPORT - 2018.11.4

森村泰昌の個人美術館「M@M(モリムラ@ミュージアム)」が大阪・北加賀屋に開館。こけら落としで貴重な80年代の作品を展示

美術家・森村泰昌が自身初となる美術館「M@M(モリムラ@ミュージアム)」を大阪・北加賀屋に開館させた。2つの展示室に加え、ライブラリーやサロン、ミニシアター、ショップからなるこの美術館の概要をレポートでお届けする。

M@M(モリムラ@ミュージアム)外観

M@M(モリムラ@ミュージアム)外観

 レンブラントの作品をモチーフに9つの自画像を同居させた《九つの顔》(1989)をはじめ、一貫して自画像をテーマに作品を発表してきた美術家・森村泰昌。その作品をいつでも見ることができる美術館「M@M(モリムラ@ミュージアム)」が11月3日、大阪の北加賀屋に開館した。

M@M(モリムラ@ミュージアム)外観

 北加賀屋エリアでは、2004年に名村造船所跡地が近代化産業遺産に指定されたのをきっかけに、芸術・文化の発信地として活用する取り組みがスタート。09年には「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」が始まり、アーティストやクリエーターたちの活動拠点となっている。

 森村と北加賀屋のつながりは2016年に遡る。森村は、初の長編映画『「私」と「わたし」が出会うときー自画像のシンポジオン』の撮影で北加賀屋ロケを行なったほか、名村造船所跡地にある「クリエイティブセンター大阪」では、「森村泰昌アナザーミュージアム」と題して、映画で用いたセットや小道具などを展示する展覧会を行ってきた。そして今回、M@Mは名村造船所をはじめ周辺土地を所有・ 管理する千島土地株式会社が展示場所を提供。建物の改修費や運営経費についても協力している。

M@Mエントランス

 美術館のフロア面積は400平米。2つの展示室とライブラリー、サロン、 ミニシアター、ショップで構成されており、それぞれ「白い闇の回廊(Gallery I)」「時をかける箱庭(Gallery II)」「ギ・装置 M(Cinema)」「記憶の樹(Library & Salon)」「森村屋商店(Museum Shop)」など、森村によって名前がつけられている。

「白い闇の回廊(Gallery I)」展示風景。左から《男の誕生》(1988)、《たぶらかし(ダンサー1)》(1988 / 98)、《たぶらかし(ダンサー2)》(1988 / 98)、《肖像(標識Ⅰ)》(1987)、《肖像(標識Ⅱ)》(1987)

 森村はM@Mについて、「見どころは5つのスペース。それぞれ雰囲気が違う空間となるよう工夫しているます。千島土地の古材バンクから提供された材料を使うなど、古いものと新しいものが融合しているところを見てほしい」と語る。

 なお、M@Mは「ひろく」「ふかく」「ながく」の3つを目標に掲げており、年に2回の企画展、トークやレクチャーなど各種プログラムを行なっていく。

ミニシアターの「ギ・装置 M」
ライブラリーの「記憶の樹」

 こけら落としは「君は『菫色のモナムール、其の他』を見たか?ー森村泰昌 もうひとつの1980年代ー」展。本展では、1986年に大阪のギャラリー白で行われた初のセルフポートレイト作品による個展「菫色のモナムール、其の他」の展示を再現に加え、モノクロの風景写真や、交通標識に扮した自画像、ボッティチェリの《ヴィーナスの誕生》に倣った《男の誕生》など、 貴重な80年代の作品を見ることができる。

「菫色のモナムール、其の他」の展示再現。左から《肖像(歩く人Ⅲ)》、《肖像(歩く人Ⅰ)》《肖像(歩く人Ⅱ)》、《肖像(赤Ⅰ)》、《肖像(赤Ⅱ)》(すべて1986)
初日には森村泰昌が美術館名のサインを描くパフォーマンスも披露された