「一生愛して」。草間彌生美術館開館で草間が語ったこと

2017年10月1日に東京・新宿区に開館する草間彌生美術館の報道内覧会が9月26日に開催された。日本初公開のミラールームを含む、開館記念展の詳細をレポートする。

草間彌生

 10月1日に開館する「草間彌生美術館」は、前衛芸術家・草間彌生の作品と関係資料の展示を通じて、草間芸術の普及振興を図るもの。年2回の展覧会を通して、草間作品のコレクションを展示するとともに講演会などを開催し、草間が作品を通じて繰り返し訴えてきた「世界平和」と「人間愛」というメッセージを広く世界に伝えることを目指している。館長を務めるのは詩人で多摩美術大学学長の建畠晢だ。

 美術館は鉄筋コンクリートの地上5階、地下1階構造。延床面積は731.6平米。角が丸くカーブした白亜の美術館でまず目に飛び込んでくるのが、エントランスのガラスに装飾された水玉だ。遠くからでも一目で草間彌生だとわかるアイコニックなデザインとなっている。

草間彌生美術館外観

 館内は5階から1階に進む一方通行になっており、ここではその順路に従って美術館を紹介していこう。5階は新宿の街並みが一望できる屋上ギャラリーと資料が並ぶブラウジングスペース。タイルが全面に貼り付けられた巨大な《Starry Pumpkin》(2015)が、日の光を浴びてきらめいている。

Starry Pumpkin 2015
5階のブラウジングスペース

 4階には体験型インスタレーション《無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく》(2017)が設置。これは1965年の《無限の鏡の間-ファルスの原野》以降、草間を代表するシリーズとなった「ミラールーム」の最新作であり、暗闇の中で、無数のカボチャが明滅を繰り返す様は圧巻だ。 草間は本作について、「この広大なカボチャ畑を見てこれからの人間の生き様を是非見つけてください。そして、みなさん自身の人生の生き様を見いだしてください」と言葉を寄せている。

無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく 2017

 階下の2〜3階はペインティングがずらりと並ぶ。3階では、2009年に制作が始まり、国立新美術館での大規模個展でもメインとなった大型の絵画連作「わが永遠の魂」シリーズから、未公開の《私の悲しみの青春の死が足音を立てゝやってくるのだ》(2017)を含む16点が壁面に展示されている。

3階に展示された「わが永遠の魂」シリーズ

 また、2階には2004年からの3年間に制作された50点の連作モノクロドローイングシリーズ「愛はとこしえ」から27点が展示。水玉や線などが集積/反復する絵画は、部屋と同化するように鑑賞者を囲む。

2階に展示された「愛はとこしえ」シリーズ
2階に展示された「愛はとこしえ」シリーズ

 今回の美術館開館について、草間は「私の生涯における最大の感激」としながら、「この草間彌生美術館に込めた思想や、すべての最愛なる人類へ捧げる愛を込めたわたしの一生と、生涯を通してきた芸術への努力の真情を見て、感じ取っていただければこれに勝る幸いはありません」とコメント。今後の活動についても「私の愛する人々や、世界平和を望むすべての人々へ、畏敬の念をよりいっそう込めて私は人生のおしまいの日までこれからも闘い続けます。あなたたちの志によって私を鼓舞していただきたい。私の愛する美術館をぜひあなたも最大の愛をもって一生愛していただきたいと思っております」と語っている。

 なお、草間彌生美術館の入館は1日4回の入れ替え制で、チケットは事前購入制となっているので、注意してほしい。

草間彌生美術館外観

編集部

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