8月3日から11日まで、東京藝術大学大学美術館 陳列館において「東京藝術大学と中国人留学生〜李叔同から現代まで〜」展が開催される。
本展は、旧東京美術学校・旧東京音楽学校時代からの中国人留学生の歴史を探るもの。これらの卒業生の軌跡を紹介し、彼らが日中友好の架け橋として果たしてきた役割を明らかにしながら、同校の歴史と日中間の文化交流を振り返り、未来につなげることを目指している。
本展の中心人物となるのは、1906年に東京美術学校に入学し、1911年に卒業した李叔同(李岸)。李は、中国帰国後に絵画、演劇、音楽分野の発展に大きな影響を与えた。その後出家し、中国で弘一大師として知られるようになった。本展では、彼の世界で現存する唯一の自画像作品と在学中の大学記録文書を公開する。
会場では、東京美術学校時代の中国人留学生が卒業制作で描いた自画像や、貴重な大学保管資料なども紹介。また、現役の中国人留学生と卒業生の優秀作品も展示され、彼らの芸術的成果を広く一般に公開する。
また本展に際し、中国人留学生および卒業生を中心に、1年半にわたる調査が行われ、同校における中国人留学生の年表が作成。1990年代以降の中国人留学生の実態調査と帰国後の進路調査も実施され、展示される予定だという。
なお会期中には、シンポジウムや講演会も予定されており、専門家による講演やパネルディスカッションが行われる。本展を通じ、日中間の文化交流の重要性を再認識し、未来への文化交流の架け橋としての新たな一歩を踏み出すことが期待できるだろう。