エプソンは、美術館関係者に向けて美術館のDX(デジタルトランスフォーメーション)の事例を紹介し、これからを検討をするオンライントークショー「Co-Creation Meeting MuseumDXについて考える。~デジタル・アーカイブとデータの活用方法~」を、8月2日の15時から16時の日時で開催する。
トークショーは、7月26日からエプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリーで始まる「なつやすみはアートであそぼう!〜出張美術館・深掘り!?美楽(びがく)展〜」と連動して開催されるもの。登壇者は上田市立美術館学芸員の山極佳子、鑑賞補助アプリを製作したエプソンアヴァシスの加藤寛人、展覧会の企画と美術品複製を手掛けたエプソン販売の佐藤拓郎の3名。
トークショーを主催するエプソンは、上田市立美術館の協力のもと同館の所蔵品を高解像度でデジタルデータ化し、複製画やアプリを製作。小規模の複写機材で美術館の負担を減らしながら、展覧会におけるワンソース・マルチユースを実現した。トークショーでは、これらの製作工程や工夫、MuseumDXを踏まえた今後の展望について、登壇者それぞれの視点から深掘りされるという。
トークショーで紹介される事例のうち展覧会で見ることができるのは、本展のために製作した「複製画」「鑑賞補助アプリ活用」「プロジェクションによる体験の拡張」の3つ。まず、同館コレクションの名画を複製し、出張展示を実現。加えて、タブレット用の鑑賞補助アプリを用いて名画の色や構図を変えることで、作品の印象がどう変わるのか、なぜ作家がそれを選んだのかといった思考を来場者に体験してもらえるようになっている。さらに、来場者がつくった作品はプロジェクターを用いた投影というかたちでギャラリーに掲示され、実際の作品と並べて鑑賞可能だという。
上田市立美術館所蔵の作品をデジタル・アーカイヴ化し、作品持つ魅力や制作技法の体験を通じて楽しく学べる同展には、地方創生や美術教育の質の向上を目指すという側面も見出すことができる。
70年ぶりとなる博物館法の改正により、美術館・博物館の事業として追加された所蔵資料のデジタル・アーカイヴ。最新技術を使い、デジタルデータの活用を来場者の体験につなげた今回の取り組みは、多くの美術館関係者にMuseumDXを進めていくうえでの新たな知見を提供することになるだろう。