架空の人物との対話をめぐって。佐川梢恵、森野真琴展「明日天国を離れる ― I leave heaven tomorrow」がガーディアン・ガーデンで開催

第24回グラフィック「1_WALL」グランプリを獲得した佐川梢恵、森野真琴。その個展「明日天国を離れる ― I leave heaven tomorrow」が東京・銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。

 架空の人物である森野真琴に対し、作品を通してコミュニケーションを試みる作品《REM》で、第24回グラフィック「1_WALL」グランプリを獲得した佐川梢恵、森野真琴。その受賞者個展「明日天国を離れる ― I leave heaven tomorrow」が、東京・銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。会期は9月21日~10月22日。

 佐川梢恵、森野真琴は1997年生まれ。女子美術大学デザイン・工芸学科ヴィジュアルデザイン専攻卒業。ドローイング展「ゆきどけ」(2022年/新宿眼科画廊)、ドローイング展「ゆうだち」(2022年/新宿眼科画廊)などに参加している。

佐川梢恵、森野真琴

 グランプリ受賞作となった《REM》は、「1_WALL」の応募資格が個人制作であることに着目し「架空の人物と自分とで二人展をすることは可能か」という実験的な発想で作品を制作したもの。佐川梢恵の自宅に森野真琴から絵具のようなもので縁取りした木製パネルが届けられたことから始まり、それを受け取った佐川梢恵は森野真琴と合作を試みたという。涎を垂らす、舌で舐める、蝋燭の火を吹きかけるなどの表現を通じて、森野真琴の作品に働きかけるイラストレーションを制作。審査員からは、架空の人物と展示をするまでの設定のつくり込みや、仕組みを利用した企てが高く評価された。

佐川梢恵、森野真琴《REM》
佐川梢恵、森野真琴《REM》

 今回の個展では、《REM》での取り組みを発展させ「繰り返しが終わる最後の日の朝」をイメージした展示を行う。会場全体を部屋に見立て、複数枚つなぎ合わせたコピー用紙に、パステルや鉛筆、シャープペンシルで描いたイラストレーション、立体作品、パフォーマンスの組み合わせによるインスタレーションを展開。佐川梢恵が森野真琴とのコミュニケーションに取り組む。

 10月6日には、編集者の室賀清徳をゲストに迎え、トークイベントも実施。1年を経てより作家の成熟を見ることができるであろう本展に注目だ。

編集部

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