グランプリ受賞者が個展開催の権利を与えられる、35歳以下を対象とした公募展「1_WALL」。その第25回グラフィック「1_WALL」展が、6月28日〜7月23日に銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。
グラフィック「1_WALL」展は、ポートフォリオ審査による1次審査と、一対一で審査員と対話をする2次審査を通過したファイナリスト5名が、ひとり1壁面を使って作品を発表するグループ展。ファイナリストによるプレゼンテーションの後、7月14日には公開最終審査会が行われ、審査員による議論を経てグランプリを決定する。グランプリ受賞者には、1年後の個展開催の権利と、個展制作費 30万円が贈呈される。
今回のグラフィック部門の審査員は、アートディレクター/グラフィックデザイナーの上西祐理、ウェブ・デザイナーの田中良治、イラストレーターの長崎訓子、グラフィックデザイナーの服部一成、編集者の室賀清徳が務めた。
2009年より続いてきた「1_WALL」展だが、グラフィック部門としての開催は本展が最後となる。今後は、フラットでオープンな審査・講評と、個展開催機会の提供という取り組みはそのままに、より幅広い表現に対して支援するコンペティションへ進化する予定となっている。
以下より、同展グラフィック部門の最後を飾る、5名のファイナリストを紹介したい。
池田洸太
1995年生まれ。東北芸術工科大学芸術学部美術科総合美術コース卒業。出品作品《雪》は、職場から家までの600メートルの道のりを描いたもの。池田は本作について次のようにコメントしている。「絶え間なく流れる川の音、今日話したこと、雪を踏み締めながらある歩くスピードで、このひとときに寄り添って」
タツルハタヤマ
2001年生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻在籍。作品《My angel is dead.》について、ハタヤマはこう語る。「生きている一瞬一瞬の行為はいつか儚く消えてしまう命の軌跡である。描くことは瞬 間の感動を残す行為であり、自分の内側と外の社会をつなぐコミュニケーションでもある」。
儲靚雯
1996年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画科油画専攻修了。出展する《Our House Hour》は、母への思いを下敷きにした作品。儲は自作を次のように解説している。「今日における自己と他者や、社会の姿を果物に置き換えて静物を構成して、絵画、立体、インスタレーションなど様々な手法で制作しています」。
趙文欣
1996年生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻統合デザイン研究領域在籍。《Void Space | 真空空間》は監視カメラの視点を用いた作品だ。趙は本作について次のように語る。「最も自然でリアルな人の姿を見守り、記録するため、監視カメラの視点を用いました。多くの人はその存在に気づきませんが、そこに映る自分は不思議で身近な存在です」。
平松可南子
1997年生まれ。東京藝術大学大学院絵画専攻修了、同大学油画科教育研究助手。出品される作品は《ありととり、持ち運べる水たまり》。「全ての事象は差異を持ち、その都度生成されていて、それは絵画も同じである」と語る平松。「展示される状況においては、鑑賞者との間に変容が起こる状況を作り出す」という。