次世代を担う若手アーティストを発掘し、グランプリ受賞者には個展開催の権利と個展制作費30万円が与えられる公募展「1_WALL」。その第23回写真「1_WALL」展が、5月18日〜6月19日の会期で銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。
本展では、ポートフォリオ審査による一次審査と、一対一で審査員と対話をする二次審査を通過したファイナリスト5名が、一人一壁面を使って作品を発表。6月3日に行われる公開最終審査会で、5名の審査員はファイナリストによるプレゼンテーションの後に議論を行い、グランプリを決定する(公開最終審査会はライブ配信・要予約。詳細はWEBを参照)。
今回選出されたファイナリストは、香取声、木原千裕、佐久間靖浩、曾迪生、長谷川愛実の5名。その作品を紹介していく。
香取声
香取声は1998 年生まれ、法政大学国際文化学部卒業。県境付近で生まれ育った香取は、コロナ禍によって人々は改めて県境の存在を意識したように思う。「あの頃、タカシの車で」は、県境で一体何が変わるだろうかということを探求しつつ、幼少期の記憶を手がかりに県境を可視化する試みとその記録。
木原千裕
木原千裕は1985 年生まれ、同志社大学社会学部教育文化学科卒業。自らの体験から信仰とは何かを考え、寺やカイラス山を撮影する。「Circuit」では、対象それ自体と向き合うことで、作家とそれ以外のつながりを示す。
佐久間靖浩
佐久間靖浩は1991年生まれ、日本写真映像専門学校卒業。多摩川で出会った人たちを被写体にしたポートレート作品を制作する。「白い流路に立っていて」では、どちらとも言えない名もない流路で、多摩川の水面で一瞬揺れて消えた魚の像のように、人々の存在は揺らぎ続ける。
曾迪生
曾迪生は1995年生まれ、東京綜合写真専門学校在籍。故郷の中国にある祖父の家を撮影した「Distant echo」では、写真で「家」に対する漠然とした印象と現実にふたたび見た風景を「遠い響き」のように表現する。
長谷川愛実
長谷川愛実は1993年生まれ、東京工芸大学写真学科卒業。石を撮影し、それにまつわる信仰や伝説を考える長谷川は「石を綯う」を発表。石を撮影することは昔の人が石に伝説や信仰などの意味をつけたことと似ていると考える。
なお、今回の写真部門の審査員は、小原真史(キュレーター/映像作家)、高橋朗(PGIギャラリーディレクター)、田中義久(グラフィックデザイナー/美術家)、津田直(写真家)、野口里佳(写真家)の5人が務めている。
これまで横田大輔、清水裕貴、平本成海、Ryu Ikaなどの若手を発掘してきた「1_WALL」。今年のグランプリは誰の手に入るか、注目したい。