東京・神楽坂に、新たなアートスポットが誕生する。「√K Contemporary(ルートK コンテンポラリー)」は、1988年より続く京橋の画廊「加島美術」の代表・加島林衛によって設立される現代美術専門のギャラリーだ。
「時空や国境に関係なく本質の芸術に触れる場をつくりたい」という想いから誕生する√K Contemporaryは、加島美術が所有するアートコンプレックスの1〜2階に位置し、2フロアで約300平米の展示スペースを持つ。
ここのオープニングを飾るのは、「もの派」を代表するアーティストとして国際的に活躍する原口典之の個展「wall to wall Noriyuki Haraguchi」だ。原口は1946年神奈川県生まれ。60年代後半から美術家としての活動を始め、77年の「ドクメンタ6」に日本人作家として初めて選出された。
鉄やポリウレタンといった工業製品に使われる素材を用いた作品や、軍用機の形を原寸大で再現した立体、金属のプールに廃油を満たす「オイルプール」シリーズなどで知られる原口。意味や機能をはぎ取りながら、物体あるいは物質そのものの在り様を提示する作品は、テート・モダンやニューヨーク近代美術館などに収蔵され、高く評価されている。
本展では、代表シリーズである「オイルプール」のほか、1階から2階に広がる吹き抜けの空間には高さ約4メートルの《円塔》(2020)を展示。また本展タイトルを冠する、壊されたモルタルに帆布を貼った《wall to wall》(2020)など、合計約30点が真新しい空間を埋め尽くす。
またスペシャルイベントとして、ダンサー・田中泯が、「オイルプール」を舞台にして躍動的な生命の息吹を吹き込む「場踊り」を3回にわたり実施。原口とゲストが対談するギャラリートークも行われるのでこちらもチェックしてほしい。
なお√K Contemporaryが入居するビル内には、多目的レンタルスペース「Space √K(スペース ルートK)」も併設。地下一階にあるこの空間は約150平米で、様々な用途に使用可能。さらに今後は、ギャラリー内で作品を眺めながらお酒を楽しめる「Gallery Bar √K(ギャラリーバー ルートK )」もオープン予定となっている。
神楽坂の地から√K Contemporaryがどのような現代美術を発信していくのか。注目だ。