今年、森美術館の新館長に就任し大きな注目を集める片岡真実。その片岡が選抜・作品指導・キュレーションを務める展覧会「KUAD ANNUAL 2020 フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート」が、2月23日〜26日の4日間にわたり、東京都美術館で開催される。
京都造形芸術大学は、近年芸術教育の成果発表ともいえる卒業・修了制作展のあり方を問い直してきた。芸術大学での学びが個人的な興味・関心から生まれる一方向的なメッセージに終始するのではなく、歴史・文化・社会・政治を複層的にリサーチし、未来の社会に対して芸術的視点で提案することの重要性を訴えるためだ。「KUAD ANNUAL」では同大学大学院芸術研究科教授を務める片岡が出展者を選抜・キュレーションし、ひとつのテーマ展として発表。2017年度から21年度まで毎年継続開催する予定となっており、3年目となる今回は出展者を学部3年生以上に広げた。
「フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート」と題された今回は、15組の学生・ゼミが選抜された。絵画、彫刻、写真などに限らず、複雑で不確定な「世界」を観察し、過去から未来を考える総合的な領域へと変化を遂げている「現代アート」。それぞれの学生がテーマを解釈し、フィールドワークで心と体を使いながら、社会から忘却された歴史や民族・宗教など、過去から未来へ叡知をつなげるための作品を発表する。
展覧会を通して、学生アーティストと企業・美術関係者・コレクターとのマッチングの場を創出することも目的とする本展。これまでも展覧会をきっかけに、大手企業と学生アーティストとの間で作品の売買契約が締結されるなど、実績を重ねてきた。アーティストにとって欠かせない、「アートマーケット」をも見据えた京都造形芸術大学の取り組みに注目だ。