国家・共同体と個人の関係や、人間の身体と感情のメカニズムを探求し、現実と虚構を織り交ぜた実験的映像やパフォーマンスで数々の話題作を手がける小泉明郎が、新作展「私たちは未来の死者を弔う」を「シアターコモンズ’19」プログラムの一環として開催する。
2016年に天皇をテーマにした個展「空気」展(無人島プロダクション)を開催、翌17年にはナショナリズムに潜在する暴力などを扱った《夢の儀礼─帝国は今日も歌う─》を「帝国は今日も歌う」展(VACANT)で発表するなど、精力的な活動を続ける小泉。
本展「私たちは未来の死者を弔う」では、極寒の雨の中、かつての米軍基地跡で傍観者たちに見守られながら、20名の若者が行った「未来の死者を弔う儀式」を新作の映像インスタレーションとして発表する。
この儀式は、小泉が長年取り組んできたヒロイズムや自己犠牲といったテーマをめぐり、17年のシアターコモンズで開催されたワークショップで若者たちとともに創作したもの。作品には、「国家や共同体、または理念のために、自分の命を犠牲にできるか?」という問いに向き合うことを強いられた若者たちの姿が収められている。