「生の痕跡展」に見る、
命を削った近代の洋画家たち

自らの命を削り、作画に打ち込んだ9人の日本近代洋画家を紹介する展覧会「生の痕跡展」が、アートフェア東京2018の永善堂画廊ブース、および永善堂画廊にて開催される。

松本竣介 自画像 1940年5月作 紙にインク 26.3×26.8cm

 日本近代洋画史において、自らの命を燃やしながら作品を世に残した画家たちがいる。

 「生の痕跡展」は、浅井忠、中村彝、須田国太郎、難波田龍起、松本竣介、舟越保武、麻生三郎、平野遼、鴨居玲といった、日本の近代絵画に名を残した画家たちの作品を一堂に展示する展覧会だ。主催は、銀座で60年以上の歴史を刻んできた永善堂画廊。3月7日から東京国際フォーラムで開催される「アートフェア東京2018」のブースでの展示のほか、3月16日から23日までは銀座の画廊でも展示を行う。

鴨居玲 流し 1976 53.0×45.8cm  キャンバスに油彩

 ハイライトとなるのは、現存作品数の少ない早逝の画家・中村彝(1887〜1924)による油彩画《静物》だ。肉体的、精神的にも大きな波のあった中村にとって、生活が安定していた1913〜14年の作品で、画面には緊張感と迫力があふれているおり、実物をぜひ会場で確かめてほしい。

 本展について、同画廊代表取締役の山村浩一は「彼らの残した作品はまさに、その生命の戦慄を孕んでいるものでしょう」と語る。「彼らの作品は決して、表面的な美しさや、技巧のうまさを問うてはいません。作品のうちからほとばしる芸術の熱情そのものです。表現したいものに真正面から勇気を持って向き合い呻吟し、その環境下から過酷な運命をも背負いました」。

 平成が終わろうとしているいま、あらためて近代の画家たちの作品と向き合ってみてはいかがだろうか。

須田国太郎 花とかみきり 制作年不明 板にキャンバス、油彩 12.2×16cm
麻生三郎 空・雨 1989 キャンバスに油彩 53×45.8cm

編集部

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