今季のオークションウィークでは「印象派・近代絵画 イブニングセール」「印象派・近代絵画 水彩・素描 デイセール」「ピカソ・セラミック オンラインセール」「コンテンポラリー イブニングセッション」「コンテンポラリー モーニングセッション」「コンテンポラリー イブニングセール」の5つのセールが開催された。
全部で800ロットを超える作品が落札され、水彩画・素描やピカソ セラミックセールに出品された500ドルの作品から5000万ドルの大作まで、すべての価格帯において堅調な落札結果を記録。また、高額作品が出品されるイブニングセールでは、ほぼすべてのロットが落札予想価格の範囲内、もしくは上限を上回る価格で落札されている。
全体を牽引したのは「コンテンポラリー イブニングセール」で、落札総額は4億4806万2000ドル(約497億4000万円)。落札率はロットベースで96%、価格ベースで99%となり、これは過去10年間で最高の落札率だ。同セールでのトップロットは、サイ・トゥオンブリーの《レダと白鳥》(1962)で、5290万ドル(約58億7000万円)。次いでフランシス・ベーコン《ジョージ・ダイアーの肖像のための三つの習作》(1963)が5180万ドル(約57億5000万円)となっている。
また、「印象派・近代絵画」セールは2010年以降の落札総額としては最高額を達成。イブニングセール、デイセール、オンラインセールの落札総額は3億1972万6375ドル(約354億9000万円)となった。同セールでの注目はコンスタンティン・ブランクーシの《眠るミューズ》(1913)で、落札価格は5740万ドル(約63億7000万円)。ブランクーシの落札額新記録を更新した。また、パブロ・ピカソの《青い服を着た座る女》(1939)は、アジアのバイヤーによって4500万ドル(約50億円)で落札されている。
今季のセールには46を超える国々から新規顧客が参加、北米のバイヤー層が作品落札の主力になったという。クリスティーズCEOのギョーム・セルティはこのオークションウィークについて次のようにコメントを残している。「いくつものロットが落札額記録を塗り替え、記録的に高い落札率を達成できたことは、数々の偉大な傑作から、優れたキュレーションで構成されたコレクションまで、当社の専門家チームが集めた美術品のクオリティの高さによってもたらされた結果です。不安定な米株式市場に左右されることなく、世界中から多くの参加があり、不況にも強い美術市場の懐の深さを如実に示す結果となりました」。