レンブラントの希少な動物画《Young Lion Resting》が競売へ。収益は野生ネコ科動物の保護団体に寄付【2/2ページ】

「レンブラントは明らかにライオンに魅了されていた」

 サザビーズのオールドマスター部門責任者グレゴリー・ルビンスタインは、本作を「レンブラントの自然観察と精神性が融合した傑作」とし、数十年に一度市場に現れるかどうかという重要作と位置づける。とくに、ライオンの左前脚が二通りに描かれ、最適な姿勢を探るレンブラントの思考過程が見て取れる点は、制作の生々しい過程を伝えている。また白いチョークを用いることで立体感と生命力が画面に吹き込まれており、輝きを宿した目はレンブラントのライオンへの強い興味を如実に示していると語る。

レンブラント・ファン・レインの《Young Lion Resting》(1638〜42)

 先のカプラン博士も、「レンブラントは明らかにライオンに魅了されていた──当時ヨーロッパではめったに見られないエキゾチックな生き物である──そしてこの素描のように、ほとんどの芸術家が人間の被写体に与えることのできない、より大きく深い内面的な生命を、どういうわけか彼らに吹き込むことができたのだ」と、本作を高く評価する。

 作品は競売に先立ち、パリ、ニューヨーク、ロンドン、アブダビ、香港、リヤドで巡回展示。推定落札価格は1500万〜2000万ドル。美術史的な価値と社会的意義を兼ね備えた本作の出品が、どのような結果となるのか注目だ。

 なお、東京・上野の国立西洋美術館では2026年7月7日より、レンブラントのエッチング作品に焦点を当てる展覧会「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」が開催される。