2018年のサザビーズ・ロンドンでの落札直後、シュレッダー付きのフレームによって切り刻まれ⼤きな話題を呼んだバンクシーの作品《Girl with Balloon(風船と少女)》(後に《Love is in the bin〈愛はごみ箱の中に〉》と改称)。同作が、ふたたびサザビーズで競売にかけられることがわかった。
当初、104万2000ポンド(約1億5800万円)で落札された同作だが、今回の予想落札価格は400万〜600万ポンド(約6億円〜9億円)。当時20万〜30万ポンド(約3000万円〜4500万円)の予想落札価格の20倍となっている。
サザビーズは声明文で、同作が西洋美術史におけるイコノクラスム(偶像破壊)の長い伝統のなかでもっとも重要な作品だとしつつ、「バンクシーのゲリラ的なアートメイキングの遺物であり、コンテンポラリーの時代にふさわしいレディメイドであり、アートとオークションの歴史のなかで非常に重要な瞬間を象徴するものだ」と評価している。
また、同作の所有者はステートメントで次のように述べている。「3年前の超現実的な夜、私は偶然にも、しかし非常に恵まれたことに《愛はごみ箱の中に》の所有者となった。世界でもっとも有名な芸術作品のひとつがどのようにして生まれたのか、その物語に参加できたことは信じられないような旅だったが、いま、この絵を手放すときが来た」。
同作は、10月14日にサザビーズ・ロンドンで行われるライブオークションに登場。それに先立ち、ロンドン(9月4日〜5日、10月9日〜14日)、香港(9月10日〜12日)、台北(9月18日〜19日)、ニューヨーク(9月25日〜29日)で巡回展示される。
なおバンクシーのこれまでのオークションレコードは、今年3月のクリスティーズ・ロンドンにて1675万8000ポンド(約25億円)で落札された、医療従事者を称賛する作品《Game Changer》(2020)だ。
Artpriceのデータによると、今年上半期に開催されたオークションのなかでバンクシーの作品は約1億2300万ドル(約135億円)の総売上高を記録。ピカソ、バスキア、ウォーホル、モネに次ぎ5位にランクインされており、現存アーティストとして同期の売上高ランキングの1位となっている。