3月16日にクリスティーズ・ニューヨークで開催された日本・韓国美術のセールで、ふたりの日本人の巨匠の作品が新たな世界記録を樹立した。
まず、葛飾北斎が1831年に制作した木版画《富嶽三十六景 神奈川沖波裏》は、最低予想価格15万ドルの10倍以上となる159万ドル(約1億7000万円)で落札され、2002年にサザビーズ・パリで落札された木版画集の記録(147万ドル)を更新した。
また、日本の個人コレクションから初めてオークションに出品された伊藤若冲の《旭日松鶴図》は、同じく159万ドルで落札。この数字は、最低予想価格30万ドルの5倍以上となっており、06年にクリスティーズ・ニューヨークで樹立した若冲の記録(44万1600ドル)をはるかに上回った。
この結果についてクリスティーズの日本・韓国美術のスペシャリストである村上高明は、「本日のオークションにおける優れた結果と世界中からの参加は、市場の強さを示している」とコメントしている。
なお、今回のセールでは220点の出品作のうち187点が落札され、合計落札金額は約971万ドル(約10億6000万円)を達成。上述の2作品のほか、北斎の版画《見立浅妻舟図》(1804-05)や平安時代の木彫りの観音菩薩立像も40万ドル以上の高額で落札された。