1月28日にサザビーズ・ニューヨークで行われたオークションで、サンドロ・ボッティチェリの《ラウンドエルを持つ青年の肖像》(1480)が9220万ドル(約96億円)で落札。この数字は、ボッティチェリのオークションにおける過去最高額を更新し、オールドマスターの過去最高額で史上2番目を記録した。
《プリマヴェーラ》や《ヴィーナスの誕生》などの作品で美術史に名を大きく刻んだボッティチェリ。現在、個人コレクションに収蔵されているボッティチェリの肖像画は3点のみであり、今回の作品はそのうちの1点。1982年に不動産界の巨人、故シェルダン・ソローがオークションで130万ドルで購入して以来初めてオークションに出品された。
サザビーズ・オールドマスター絵画部門(ニューヨーク)の責任者であるクリストファー・アポストルは、本作について次のようにコメントしている。「これは優れた絵画であるだけでなく、美の象徴でもあり西洋文明の多くが始まった瞬間の象徴でもある。今日の結果は、絵画そのものと、それが象徴するすべてのものへの賛辞である」。
オールドマスターのオークションにおける過去最高額を記録したのは、2017年にクリスティーズ・ニューヨークで約4.5億ドル(約508億円)で落札されたレオナルド・ダ・ヴィンチの《サルバトール・ムンディ》。なおボッティチェリのこれまでのオークション記録は、13年にクリスティーズ・ニューヨークで約1044万ドル(約11億円)で落札された、通称「ロックフェラーの聖母」の作品。今回の数字は、当時の記録の約9倍となっている。