ジャン=ミシェル・バスキアの作品がアジアのマーケットに大きなインパクトを与えるかもしれない。クリスティーズは3月23日、香港において「We Are All Warriors -The Basquiat Auction」と題したシングルロットオークションに、バスキアの代表作《Warrior》が出品されると発表した。予想落札価格は2億4000万〜3億2000万香港ドル(約32億5000万円〜43億3000万円)。アジアで開催されるオークションにおいて西洋絵画で最高額となる可能性がある。
《Warrior》は、バスキアの制作活動が芸術的頂点にあった1982年に制作された自画像。《La Hara》《Irony of Negro Policeman》を含むパネル作品のシリーズの一部で、バスキアの制作史上、もっとも優れた作品のひとつと考えられている。クリスティーズは本作品について、「力強い戦士が銀の刀を振りかざし、鋭い眼光が観るものを圧倒する。このイエス・キリストのようにも見える剣闘士は、この作品が制作される以前に、数多のスケッチを通じてバスキアが探求し続けていた極めて重要な主題」と説明。
また来歴の確かさも予想落札価格の高さに影響している。同作は1983年、東京のアキライケダギャラリーの展覧会で最初に発表。以来、世界中の重要な出版物や展覧会で重要作品として紹介されており、19年にニューヨークのザ・ブラント・ファウンデーション・アート・スタディ・センターで開催された「ジャン=ミシェル・バスキア展」ではセンターピースとして展示された。
クリスティーズでは昨年12月に香港で行われた「20世紀 /21世紀美術セール」において昨年アジアで行われた全オークションでの最高額を記録。これを受け、今回の《Warrior》 もアジアのコレクターたちよる盛んな入札が予想されるとしている。
なおバスキアのオークションレコードは、前澤友作が2017年にサザビーズ・ニューヨークのイブニング・セールで落札した《Untitled》の123億円。