新型コロナウイルスの影響で世界的にアートマーケットが冷え込むなか、2021年2月に京都で新たなアートフェアが開催されることが決定した。
「Art Collaboration Kyoto」(ACK)と題されたこのフェアは、京都府が主導となって行う新たなかたちのアートフェア。行政と民間の協働、日本と海外のギャラリーの協働、美術とその他の領域の協働など「コラボレーション」をテーマに、企画・運営を行う。実行委員会は京都府と民間のコラボレーションにより設立され、委員長を稲垣勝彦(京都府文化スポーツ部長)が、副委員長を井上佳昭(Yoshiaki Inoue Gallery 代表/一般社団法人日本現代美術振興協会 副代表理事)と小山登美夫(小山登美夫ギャラリー 代表/一般社団法人日本現代美術商協会 代表理事)が務める。
また共同ディレクターには、井上佳昭(Yoshiaki Inoue Gallery 代表)、大石正子(京都府文化スポーツ部文化芸術課 参事)、金島隆弘(ACKプログラムディレクター)、小山登美夫(小山登美夫ギャラリー 代表)、森裕一(MORI YU GALLERY 代表)、山本裕子(ANOMALY ディレクター)が名を連ね、企画から実行までを担当する。
会場は国立京都国際会館の3000平米におよぶイベントホールで、「ギャラリーコラボレーション」と「キョウトミーティング」という2種類のセクションで構成。
「ギャラリーコラボレーション」では、日本国内のギャラリーがホストギャラリーとして、海外に本拠地のあるギャラリーをゲストギャラリーに迎え、ブースを共有して出展。国内と海外それぞれ約20の「有力ギャラリー」が集まるという。
いっぽうの「キョウトミーティング」は、京都ゆかりのアーティストによる個展、またはテーマのあるグループ展(3名程度)で構成。約10ギャラリーが参加し、京都の現代美術を発信する。会場全体では約50ギャラリー(約30ブース)が参加予定となる。
フェア開催にあたり、西脇隆俊京都府知事は「現代美術のこれからの枠組みのあり方を探りつつ、京都をはじめ日本全体の文化・芸術の発展、アート市場の拡大、さらに、観光と結びつけることによる経済の活性化を目指し、このコロナ社会に対応したやり方で京都から発信していきたい」とコメント。
またプログラムディレクターを務める金島隆弘は、これまでアートフェア東京やアート北京のディレクターを務めた経歴を踏まえ、次のように意気込む。「美術館や美術大学など、文化的資源に恵まれた京都にて、新しいシステムを模索していくにあたり、コラボレーション、つまり協働をテーマに据えました。ACK実行委員会のメンバーは、京都府をはじめ、美術、経済、観光に関わる各団体の責任者から構成されており、それぞれが協働しながら、事業を進めて参ります。さらにこの協働を、行政と民間にとどまらず、日本と海外、美術とその他の領域にまで枠を広げることで、日本における現代美術の発信と流通の場をこの京都から発展させていく所存です」。
アート・バーゼルとUBSによる2020年の中間調査「The Impact of COVID-19 on the Gallery Sector」では、新型コロナの影響で世界全体のギャラリー売上高は平均で36パーセント減少していることが明らかになった。またアート・バーゼルをはじめとする世界中のアートフェアが相次ぎ中止となり、作品販売はオンラインへのシフトチェンジが加速している。そのような状況下、この新たなアートフェアはどのようなインパクトをもたらすのか、注目したい。