毎年3月、6月、12月に香港、バーゼル、マイアミ・ビーチの3都市で開催される世界最大級のアートフェア「アート・バーゼル」。新型コロナウイルスの影響で今年3月と6月のフェアがオンラインへと移行し、12月のマイアミの行方はまだ不透明だ。そんななか、アート・バーゼルは9月と10月に新しいオンライン・ビューイング・ルームを開設すると発表した。
アート・バーゼルのリアルなフェアや、これまで2回開催されたオンラインでのフェアでは、200以上のギャラリーが出展してきた。しかし、今回の新しいオンライン・ビューイング・ルームは、出展ギャラリーの数を100以下に設定しており、各参加ギャラリーは6つの作品を同時に展示することができる。
9月23日〜26日に開催される「OVR:2020」では2020年に制作された作品、10月28日〜31日の「OVR:20c」では20世紀に制作された作品を展示予定。2回とも2018年以降のアート・バーゼルに参加したギャラリーが応募でき、選考委員会はサディ・コールスHQや303ギャラリー、ポーラ・クーパー・ギャラリーなど12のギャラリーのディレクターが務める。
アート・バーゼルのグローバル・ディレクターであるマーク・スピグラーは声明文で次のようにコメントしている。「アート市場は依然として厳しい状況に直面していますが、ギャラリーをサポートし、鑑賞者と交流するための様々な方法を模索し続けることが重要だと考えています。9月と10月のオンライン・ビューイング・ルームは、ギャラリーに新たなチャンスをもたらすでしょう」。
また、今回のオンライン・ビューイング・ルームでは、バーゼル側が初めてオンライン・プラットフォームへの参加料を要求することとなり、その金額は2回とも一律5000スイスフラン(約58万円)となっている。アート・バーゼルはプラットフォームソフトウェアの開発を進めており、鑑賞者がギャラリーと直接やり取りできる新しいライブチャット機能などの導入も予定している。
なお、今年10月に開催を予定していたアートフェア「フリーズ・ロンドン」や「TEFAFニューヨーク2020」も、新型コロナウイルスの影響によりオンラインへと移行している。アート・バーゼルのような有力なプレイヤーが加わることで、今秋のオンラインアート市場における競争は一層激しくなるだろう。