2020年12月3日〜6日に開催を予定していたアメリカ大陸最大級のアートフェア「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」(以下、ABMB)が、新型コロナウイルスの影響で中止となることが発表された。これにより、今年は香港、バーゼル、マイアミ・ビーチの3都市での「アート・バーゼル」がすべて中止となった。
この決定について、同フェアは声明文で次のように理由を説明している。「南フロリダから(アメリカ)国内のほかの地域や世界に広がるパンデミックの影響に関する現在の状況や、大規模イベントのステージングの限界と不確実性、海外旅行の制限や禁止、アメリカ内外の検疫規制、その他の要素と相まって、アート・バーゼルは2020年のマイアミ・ビーチでのフェアを中止するほかない」。
アート・バーゼルのディレクターアメリカズ、ノア・ホロヴィッツは、「12月にマイアミ・ビーチで開催されるフェアの中止を発表することは、非常に残念であり、失望でもあります」としながら、次のように述べている。
「私たちのフェアが、ギャラリーのみならず、マイアミのアート・コミュニティや経済にとっても極めて重要であることは周知の事実です。ここ数ヶ月から数週間、見解や洞察を共有してくれたすべての人に感謝し、来年マイアミ・ビーチに戻ってフェアを成功させることを楽しみにしています」。
新型コロナウイルスの影響で今年3月と6月に開催予定だった「アート・バーゼル香港」と「アート・バーゼル」は相次ぎオンラインへと移行。今回の開催中止を受け、12月のABMBもオンライン・ビューイング・ルームの形式で展開される。
また、ABMBと同時に行われる「Art Miami」「CONTEXT Art Miami」「Aqua Art Miami」といったアートフェアの運営会社であるアート・マイアミ・ショー・グループも、それぞれのイベントの開催中止および新たなバーチャル・フェア「MIAMI ART CITY」の設立を発表。同時開催の「NADA Miami」や「UNTITLED, ART Miami Beach」「Design Miami/」はまだ公式に発表していないが、おそらくオンラインへの移行を余儀なくされるだろう。
先月、アート・バーゼルは9月と10月に小規模なオンライン・ビューイング・ルームを新たに開設することを発表。今年10月に予定されていた「フリーズ・ロンドン」や「TEFAFニューヨーク2020」もオンラインで開催される。
長引く新型コロナウイルスの影響により世界のフェア全体がオンライン化になっているなか、それぞれのフェアはいかにしてアクセシビリティを高め、出展ギャラリーとコレクターたちを満足させることができるだろうか。注目したい。