落札での売り上げは全額慈善団体に寄付をする。この方針でも大きな注目を集めてきたギー&デイヴィッド・ロックフェラー夫妻の美術品コレクションの一連のセールがすべて終了した。
6ヶ月におよぶキャンペーンと、10日間のオンラインオークション、そしてクリスティーズ・ロックフェラーセンターで3日間にわたって開催されたオークションでの落札総額は8億3257万3469ドル(約907億5000万円)を達成。これは、個人コレクションのオークションとしては、2009年にクリスティーズ・パリで行われた「イヴ・サンローランとピエール・ベルジェ」コレクションの4億4300万ドル(約448億円)を大幅に上回る、過去最高の売上総額となった。
コレクションのトップロットはピカソ《花かごを持つ少女》の1億1500万ドル(約125億3000万円)で、これはピカソ作品としては史上2番目の記録。また、モネ《睡蓮》の8468万7500ドル(約92億3000万円)と、マティス《マグノリアとオダリスク》の8075万ドル(約88億円)は、それぞれ作家のオークション落札記録を更新。このほかウジェーヌ・ドラクロワ、ジャン=バティスト・カミーユ・コロー、アルマン・セガン、ジョルジョ・モランディ、オディロン・ルドンなどがオークション落札記録を更新している。なかでも976万2500ドル(約10億6000万円)で落札されたディエゴ・リヴェラの《The Rivals》は、リヴェラの作品としてだけでなく、ラテン・アメリカ美術の作品としてもオークション記録を塗り替える結果となった。
加えて装飾美術分野では、ナポレオンI世のために制作された食器セット「マルリー・ルージュ」が181万2500ドル(約1億9756万円)で19世紀の陶磁器作品として最高落札額を更新。
すべてのオークション期間中、印象派・近代絵画、アメリカ絵画、ラテン・アメリカ美術、現代彫刻、そしてヨーロッパおよびアメリカ装飾美術、イスラム絵画、中国美術分野で合計22作品がオークション記録を更新するという結果になった。
落札率100パーセントという快挙も達成した本セールシリーズ。落札者の地域分布は南北アメリカが73パーセント、欧州・中東・ロシア及びインドが18パーセント、アジアが10パーセントとなっており、オンラインでは新規のバイヤーが61パーセントを占めたという。
本セールの結果についてデイヴィッド・ロックフェラーJr.は「クリスティーズとロックフェラー一族は、ともに売上総額5億ドルを目標として努力してまいりましたが、それを大幅に上回る結果に感謝と充足感を感じています。私の兄弟、そして子供たちもこの歴史的な一週間を終え、誇りと感謝で一杯です。両親も同じ気持ちでいることは間違いありません」とコメントしている。
なお、今年6月12日にクリスティーズ・ニューヨークで開催される宝石オークションにはロックフェラーコレクション所蔵の宝飾品19点が出品される予定。本セールの結果を受け、どのような数字が生まれるのか、注目が集まる。