2027年6月6日から9月19日までフィンランドの首都ヘルシンキで開催される「ヘルシンキ・ビエンナーレ2027」の新たな参加アーティスト16組が発表された。11月5日には東京のフィンランド大使館でプレス発表会が行われ、共同キュレーターを務める森美術館館長の片岡真実とHAM ヘルシンキ美術館館長のアルヤ・ミラーが、展覧会の構想やキュラトリアル・テーマについて説明した。
ヘルシンキ・ビエンナーレは、2021年に始まった国際現代美術展。4回目となる2027年展は、片岡とミラーによる共同キュレーションのもと、「Unknowns(未知なるもの)」をテーマに開催される。会場は、ヘルシンキ沖のヴァッリサーリ島、市内中心部のエスプラナーディ公園、HAM ヘルシンキ美術館の3ヶ所。自然豊かな島から都市の公共空間、美術館まで、異なる環境を舞台に作品を展開する。

今回発表された16組には、ユアサエボシ、イケムラレイコ、瀬戸桃子のほか、韓国出身のヤン・ヘギュ、フィンランドの作家・芸術家トーベ・ヤンソン、韓国出身でデンマークを拠点とするジェーン・ジン・カイセン、イギリスのハルーン・ミルザらが名を連ねる。すでに参加が発表されている奈良美智を含め、現時点で28組の参加が決定。最終的には約45組が参加する予定で、全ラインアップや作品の詳細は2027年初頭に発表される。
自然と都市を舞台に、「未知なるもの」を探る
プレス発表会の冒頭でミラーは、世界各地で数多くのビエンナーレが開催されるなか、ヘルシンキ・ビエンナーレならではの特徴として「自然との対話」と「パブリックアート」の2点を挙げた。
メイン会場のひとつとなるヴァッリサーリ島は、かつて軍事目的で使用されていた島だ。長年にわたって一般の立ち入りが制限されていたことから、現在は豊かな自然環境と生物多様性が残されている。いっぽう、HAM ヘルシンキ美術館は市内のパブリックアート事業も担っており、ビエンナーレで新たに制作される作品の一部は、会期終了後も市内に残される予定だという。

片岡は、2024年に共同キュレーターの依頼を受け、通常の国際展よりも長い準備期間が与えられたことを明かした。また、昨年の前回展を視察した際、美術館とフェリーで訪れる島を組み合わせた会場構成に、18年に自身が芸術監督を務めたシドニー・ビエンナーレとの共通点を感じたという。
そのいっぽうで、ヴァッリサーリ島の美しい自然の背景には、軍事施設としての歴史があることにも言及。ロシアと長い国境を接するフィンランドの地政学的な状況を踏まえ、自然環境と軍事的な緊張が共存する場所としての島に関心を示した。
今回のテーマ「Unknowns(未知なるもの)」は、まだ知らない世界や、既存の知識では捉えきれない領域を、現代アートを通じて探究するものだ。
片岡は、近年の国際展について、世界的な分断や政治的な対立、多様性をめぐる衝突などを反映した、緊張感の高い展覧会が増えていると指摘。そのうえで、自身にとって現代アートの大きな魅力は「知らなかったことを知ることができる」点にあると語った。「アーティストの世界観を通して、自分ではまったく覗いたことのない扉を開け、知らない世界や歴史、異なる文化を知ることができる。それがこのうえない喜びだと改めて感じました」。

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