イギリスの15の国立博物館・美術館、今後も入館無料に。海外観光客も対象【2/2ページ】

「すべての人に、永遠に無料で」

 ナンディは今回の発表に際し、博物館は人々に共有された歴史を伝え、日常の枠組みを超えて世界を見る機会を与える場所だとしたうえで、「だからこそ、すべての人がアクセスできるよう、永遠に無料でなければならない」とコメントした。

 文化界からも決定を歓迎する声が相次いでいる。テート暫定館長のカリン・ヒンズボーは、誰もが国の文化的コレクションにアクセスできるイギリスの制度は世界から「羨望と称賛」を集めていると指摘。大英博物館館長のニコラス・カリナンも、1753年の設立時から同館が「あらゆる人」に無料で開かれることを理念としてきた歴史に触れ、今回の決定を歓迎した。

テート・モダン 2015 © Tate Modern Photography

 アーティストからも、ブリジット・ライリーやレイチェル・ホワイトリードらが支持を表明。ライリーは、気軽に美術館へ立ち寄って絵画を見ることのできる環境について、「心と精神をリフレッシュできることの計り知れない価値」を強調している。

日本では国立美術館が所蔵作品展を値上げ

 こうしたイギリスの動きとは対照的に、日本では国立美術館が所蔵作品展および上映会の観覧料金を改定する。2026年10月以降に東京国立近代美術館、国立工芸館、京都国立近代美術館、国立映画アーカイブ、国立西洋美術館、国立国際美術館の6施設で開始となる展示会期が対象となる。一般料金では、東京国立近代美術館や国立西洋美術館の所蔵作品展が500円から1000円へ、国立国際美術館が430円から1000円へ、国立映画アーカイブが250円から500円へと改定される。なお、高校生以下、18歳未満、65歳以上、障がい者手帳所持者と付添者1名の無料措置は継続される。

 国立美術館は値上げの理由として、所蔵作品の展示・上映の充実に加え、デジタル対応やアクセシビリティ向上などに必要な投資を挙げる。また近年、物価高騰やエネルギー価格の上昇、展示にかかわる輸送・警備・造作などの経費が増加していることも背景にあるとしている。

 文化施設の運営コストが上昇するなか、公共コレクションへのアクセスをどのように維持し、その費用を誰が負担するのか。イギリスが無料入館制度の継続をあらためて打ち出したいっぽう、日本では観覧料が上昇傾向にあり、両国で異なる対応が示されている。