予算目標は1億円。日本館設立70周年、2026年ヴェネチア・ビエンナーレへ向けた大規模支援活動が始動【3/3ページ】

 2026年の日本館で展示される荒川ナッシュ医《草の赤ちゃん、月の赤ちゃん》は、「遊びの主体としての赤ちゃん」を軸にしたパフォーマンス的作品だ。赤ちゃんの視点や声を通して、子供たちの未来、家父長制、アジア系ディアスポラ、クィアな子育てといった今日的課題が多層的に浮かび上がる企画となっている。

 展示では、日本館とその庭全体が「赤ちゃんゾーン」へと変貌し、赤ちゃんの声を素材としたサウンドインスタレーションが響き渡る。また、荒川ナッシュの出身地・福島の女性たちが縫製したロンパースを着せた、サングラス姿の多様な人種の赤ちゃん人形が来場者を迎える。

 鑑賞者はスタッフから“赤ちゃん”を託され、日本館内を抱きながら巡り、最後には“赤ちゃん”の誕生日に由来する「未来のための詩」が手渡されるという体験型展示が予定されている。2024年12月に代理出産を経て誕生したユンタ&ソウの存在も背景に、世界が抱える痛みのなかで次の世代をいかに祝福するかという問いを柔らかくも力強く問いかけるプロジェクトとなりそうだ。