予算目標は1億円。日本館設立70周年、2026年ヴェネチア・ビエンナーレへ向けた大規模支援活動が始動【2/3ページ】

 こうした状況を踏まえ、日本館チームは日本館設立70周年となる今回、総額1億円の予算目標を掲げた。基本予算(25%)を除く7500万円を寄付(75%)によって集める大規模なファンドレイジングを実施する。

 支援方法は、通常寄付に加え、11月13日から翌年3月31日まで行われるクラウドファンディング、さらには個人・企業・財団への寄付呼びかけなど多岐にわたる。寄付にあたっては、支援者の状況に応じて3つの寄付窓口から選択することができる。

 国際交流基金を通じた寄付は日本国内の納税者が税制優遇を受けられるほか、アメリカ在住者には米国での税制優遇が適用されるフィスカル・スポンサー制度が設けられている。また、税制優遇を必要としない支援者には日本館チームの専用口座が用意されており、寄付の形態にかかわらず、すべての支援金は最終的に日本館チームへ集約され、展示制作や国際交流事業のために使われる。

 今回のクラウドファンディングには、資金調達にとどまらず、「ヴェネチア・ビエンナーレをより多くの人に知ってもらいたい」という願いが込められている。荒川ナッシュは、2027年にアーティゾン美術館で開催予定の帰国展に向け、現地の臨場感を伝える映像作品の制作を構想しており、ビエンナーレ会場に足を運べない人々にも、日本館の展示がどのように機能していたのかを体験してもらいたいとしている。映像制作費もクラウドファンディングの支援対象に含まれ、3000円から参加可能である点も市民がプロジェクトに関わる入り口として意図されている。