2022年からロシアによる軍事侵攻が続くウクライナにおいて、停戦の合意が見えないなか、市民の移動や命の避難路、兵士の輸送、支援物資の供給など、列車はいまやたんなる交通手段ではなく、まさに「生命線」となっている。そうした現実の只中に、世界的なアーティスト、バーバラ・クルーガーが新たなプロジェクトを発表した。
5月1日〜7月14日の期間、クルーガーの代表的なタイポグラフィ作品が、ウクライナ鉄道のインターシティ列車に展開されている。このプロジェクトは、RIBBON Internationalとウクライナ鉄道の協力によって実現したもので、アーティストが公共空間を詩的かつ政治的に再構成する試みとして、国際的にも注目を集めている。

Courtesy of the artist, RIBBON International, Ukrainian Railways, and Sprüth Magers. Photo by Vitalii Halanzha
今回の新作《Untitled (Another Again)》は、クルーガーが書き下ろした詩のフレーズが列車の外装にウクライナ語で刻まれ、都市から都市へと移動しながら人々の目に触れることとなる。その英訳は次の通り。
ANOTHER DAY
ANOTHER NIGHT
ANOTHER DARKNESS
ANOTHER LIGHT
ANOTHER KISS
ANOTHER FIGHT
ANOTHER LOSS
ANOTHER WIN
ANOTHER WISH
ANOTHER SIN
ANOTHER SMILE
ANOTHER TEAR
ANOTHER HOPE
ANOTHER FEAR
ANOTHER LOVE
ANOTHER YEAR
ANOTHER STRIFE
ANOTHER LIFE
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