3月下旬(当初発表は1月下旬)での休館が発表されたDIC川村記念美術館。その存続を訴え、全国美術館会議会員館の有志らが署名活動をスタートさせたことがわかった。
DIC株式会社(以下、DIC)が運営するDIC川村記念美術館は、経営上の理由から「ダウンサイズ&リロケーション」あるいは「美術館運営の中止」となる方針が示されており、そのために3月下旬をもって休館に入る。
この日本有数の私立美術館の休館という事態に対して動いたのが、「全国美術館会議」の会員館館長らだ。全国美術館会議は、416館の国公私立美術館が加盟する一般社団法人。貝塚健(千葉県立美術館館長)、大島徹也(多摩美術大学美術館館長)、安田篤生(高知県立美術館館長)が代表となり、「DIC川村記念美術館の適正な存続を求める署名活動」を開始した。
有志はこの署名活動において、DIC川村記念美術館が優れた西洋近現代美術コレクションを有しており、「その展覧会活動・教育普及活動は、革新的なもの、挑戦的なものを含み、他の美術館の指針の一つとなるもの」と評価。また休館はあくまで母体のDICの経営判断によるものであることを踏まえたうえで、「可能な限りの現状維持と適正なかたちでの継続」「企業の社会的責任や存在意義を踏まえた社会からの期待と要請に応えられるような最終結論」「従事者への特別な配慮」の3点を要望している。
署名活動は10月24日まで、全国美術館会議会員館職員および個人会員を対象に行われ、10月末にDICに提出するという(*)。
DIC川村記念美術館に関しては、休館発表後に千葉県知事や佐倉市長から懸念の声が上がり、佐倉市も存続を求める署名活動を開始。10月10日時点で5万6000件以上の署名が集まっている。また著名なアートコレクターとしても知られる前澤友作氏も「もしコレクションを売却するという方向なら、数々の名作が日本から出ないように、まずは日本の買い手にアプローチして欲しい」とXに投稿するなど、各界から声が上がっている。
*11月2日追記:署名活動は終了し、会員館職員・個人会員から261筆の署名が集まった。10月30日に貝塚健、大島徹也がDIC株式会社を訪問し、署名を手渡した。