塚田優(評論家)と南島興(横浜美術館・学芸員)による共同企画「シリーズ:美術批評を読む」。第2回となる「作家が批評を読む」が9月15日に開催される。
本企画は、現在の美術の各シーンで活動するキーパーソンたちが、過去の批評をどのように読んでいるのかを問い、任意の論者についてレクチャーしながら共同討議を行い、批評の現在地を探るもの。第2回目となる今回は批評家や研究者とは異なる角度から批評を読んでいるであろう作家をゲスト登壇者として招き、批評の可能性について論じる。
今回登壇するのは、現在の日本の芸術文化のシーンにおいて作家として活動しながら、各自の視点から問題意識を持ったテキストを執筆してきた小田原のどか、山之辺ハサクィ、山本浩貴(いぬのせなか座)の3名。
小田原は彫刻家・評論家、芸術学博士(筑波大学)。主な展覧会に「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? 国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(国立西洋美術館、2024)など。つなぎ美術館(熊本県)にて個展「小田原のどか 近代を彫刻/超克する—津奈木・水俣編(小田原のどかつなぎプロジェクト2024成果展)」(2024年9月7日〜11月24日)も開催される。主な単著に『近代を彫刻/超克する』(講談社、2021)『モニュメント原論:思想的課題としての彫刻』(青土社、2023)。2020年より『藝術新潮』『東京新聞』にて評論を連載しており、労働組合アーティスツ・ユニオン・ジャパン オブザーバー、表現の現場調査団メンバーでもある。
山之辺はアーティスト、リサーチャー。p5.jsを用いたジェネラティブアートの制作や、それに触発されたドローイング作品の制作を行っている。また日中韓台を巡回するジェネラティブアート展「dialog()」や、ブロックチェーンのメディウムにフォーカスした展覧会「Proof of X」の企画に参加。論考として「dialog(アジア, 現代, ジェネラティブアート)」(2024)、「NFTと「書き取りシステム」としてのブロックチェーン」(2023)、「Discourse NFT Network」(2022)など。また、Massage Magazineにて「日本の黎明期コンピュータアートを再考する」を連載中。
山本は小説家/デザイナー/批評家/編集者/いぬのせなか座主宰。小説や詩やパフォーマンス作品の制作、書物・印刷物のデザインや企画・編集、芸術全般の批評などを通じて、表現と〈アトリエ〉の関係、あるいは〈私の死後〉に向けた教育の可能性について共同かつ日常的に考えるための方法や必然性を検討・実践している。主な小説に「無断と土」(鈴木一平との共著、『異常論文』ならびに『ベストSF2022』掲載)。主な戯曲に「うららかとルポルタージュ」(「Dr. Holiday Laboratory」により2021年11月上演)。2015年より主宰するいぬのせなか座は、小説や詩の実作者からなる制作集団・出版版元として、『文藝』『ユリイカ』『現代詩手帖』『美術手帖』『アイデア』など各種媒体への寄稿・インタビュー掲載、パフォーマンスやワークショップの実施、企画・編集・デザイン・流通を一貫して行っている。
今回の企画では小田原はベル・フックス論を、山之辺はG.E.レッシング論を、山本は佐々木正人論を展開。司会は塚田が務める。