土門拳記念館、25年4月より「土門拳写真美術館」に呼称変更

山形県酒田市の土門拳記念館が、2025年4月より美術館の呼称を「土門拳写真美術館」に変更。改称に伴い、新しいロゴマークを公募する。

土門拳記念館

 山形県酒田市の土門拳記念館が、2025年4月より美術館の呼称を「土門拳写真美術館」に変更する。 

 土門拳記念館は1983年に開館。酒田市出身の写真界の巨匠・土門拳の約13万5000点を収蔵する日本初の写真専門美術館として知られる。土門の代表作「古寺巡礼」をはじめ、「ヒロシマ」「風貌」「筑豊のこどもたち」など昭和のドキュメント、日本の美と心を追求した名作を展示替し、テーマごとに紹介している。

 同館は谷口吉生の設計による建築、勅使河原宏が手がけた庭園、イサム・ノグチの彫刻、亀倉雄策による銘板など、土門と縁のある作家たちが関わっており、2009年にはミシュラングリーンガイドジャポンに二つ星として掲載された。

 同館によると、今回の改称は2023年6月に同館館長に就任した佐藤時啓の発案を受け、公益財団法人さかた文化財団から申し出があったもの。40周年という時間の経過とともに、「土門拳が写真家であることを知らない世代も増えてきている」とし、土門拳写真美術館に名称を変更することで、土門を知らない世代にも、日本を代表する写真家であるということを、わかりやすく伝えることが狙いのひとつだという。

 また、同館はこれまでの土門や関連作品を中心とした展示から、今後は土門が提唱した「リアリズム」とは異なった価値観の作品についても積極的に展示していく考えで、「異なった価値観を持つ作品と、土門の作品を相対することで、より土門の作品に焦点を当て、新たな価値観を創造したいとの思いであるが、他の写真家の作品も展示することから、記念館(memorial hall)より美術館(museum)とすることが望ましいと考えた」としている。

 なお、谷口吉生やイサム・ノグチ、亀倉雄策、勅使河原宏の意思を尊重するかたちで、条例上の正式名称は現在の土門拳記念館とし、対外的名称のみが「土門拳写真美術館」となる。

 改称に伴い、美術館のロゴマークの公募も始まった。応募条件は、応募者自身が制作した未発表かつオリジナルの作品。権利関係に問題がないことを前提に、既存フォントの使用も可能だ。ロゴは「土門拳写真美術館」「Ken Domon Museum of Photography」の両方の表記を含むデザインで、文字のみのデザインも、文字にシンボルマークを組み合わせたデザインでも応募できる。賞金は最優秀賞が30万円、佳作が5万円。土門拳記念館の館長・佐藤時啓(美術家 / 写真家)および公益財団法人さかた文化財団関係者の合議によって審査され、25年3月中旬頃に結果が発表される。締め切りは8月20日必着。詳細は同館ウェブサイトを確認してほしい。

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