開館40周年の節目として、2022年2月よりエントランス棟の増築工事を行ってきた大阪・中之島の大阪市立東洋陶磁美術館(MOCO)が、4月12日にリニューアルオープンした。
同館は、昭和の実業家・安宅英一(あたか・えいいち)による「安宅コレクション」の陶磁が、住友グループから大阪市に寄贈されたことを記念して1982年11月に開館。「李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクション」の韓国陶磁や、濱田庄司作品などの寄贈、日本陶磁の収集などにより、東洋陶磁のコレクションとして世界第一級の質と量を誇り、そのコレクションには国宝2件と重要文化財13件が含まれている。
約2年間の工期を終えてリニューアルされたのは、ガラス張りのエントランス部分だ。中之島公園との一体感を重視し、開放的なエントランスホールとなったことで、来館者がより気軽に足を運ぶことができるようになりそうだ。さらに、カフェスペースやミュージアムショップもリニューアル。コレクション品をイメージしたドリンクやグッズも登場しているため要チェックだ。
さらに、同館のリニューアルオープンを記念した特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」も開幕した。会場は、13の展示室に分かれており、同館所蔵の約5700件から珠玉の382件が展示されている。
出展作品382件のうち《油滴天目茶碗》《飛青磁 花生》といった国宝2件も特別展示。《油滴天目茶碗》は、その特徴でもある斑紋と光彩をより美しく見せるための専用ケースで、360度鑑賞することも可能だ。
もうひとつの国宝《飛青磁 花生》は、「自然採光展示室」で展示されている。これは、展示ケースのなかに天窓から自然光をとりこんだ世界唯一の展示室であり、同館のこだわりのひとつだ。青磁の微妙な色合いや質感を引き出す自然光で、作品の本来の美しさを堪能してほしい。また、ほかの展示室には自然光により近いという紫のLED照明も設置されている。
ほかにも、《油滴天目茶碗》にそっくりなハンズオンコントローラーを動かすことで、高精細3DCGの《油滴天目茶碗》を画面上でじっくり鑑賞することができるインタラクティブな展示コーナーや、館内随所には大阪市立東洋陶磁美術館の新キャラクターも登場。東洋陶磁美術館の原点に立ち返りながらも、現代ならではの挑戦が見受けられる本展をぜひじっくりご覧いただきたい。