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大阪市立東洋陶磁美術館がリニューアルオープン。特別展には国宝《油滴天目茶碗》も登場

2022年2月よりエントランス棟の増築工事を行ってきた大阪・中之島の大阪市立東洋陶磁美術館がリニューアルオープン。それにあわせて、オープン記念特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」も開幕した。会期は9月29日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、国宝《油滴天目茶碗》

 開館40周年の節目として、2022年2月よりエントランス棟の増築工事を行ってきた大阪・中之島の大阪市立東洋陶磁美術館(MOCO)が、4月12日にリニューアルオープンした。

 同館は、昭和の実業家・安宅英一(あたか・えいいち)による「安宅コレクション」の陶磁が、住友グループから大阪市に寄贈されたことを記念して1982年11月に開館。「李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクション」の韓国陶磁や、濱田庄司作品などの寄贈、日本陶磁の収集などにより、東洋陶磁のコレクションとして世界第一級の質と量を誇り、そのコレクションには国宝2件と重要文化財13件が含まれている。

 約2年間の工期を終えてリニューアルされたのは、ガラス張りのエントランス部分だ。中之島公園との一体感を重視し、開放的なエントランスホールとなったことで、来館者がより気軽に足を運ぶことができるようになりそうだ。さらに、カフェスペースやミュージアムショップもリニューアル。コレクション品をイメージしたドリンクやグッズも登場しているため要チェックだ。

大阪市立東洋陶磁美術館 ©岡本公二
エントランスホール ©岡本公二
カフェスペース。カフェ利用のみも可能
ミュージアムショップ
エントランスホールには、若手陶芸作家・橋本知成による陶磁の椅子も設置。実際に座ることも可能で、作品と直接触れあう機会が設けられている

 さらに、同館のリニューアルオープンを記念した特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」も開幕した。会場は、13の展示室に分かれており、同館所蔵の約5700件から珠玉の382件が展示されている。

展示室2「安宅コレクション韓国陶磁 翡色幽玄」展示風景より。鏡の展示台により、裏側もよく見ることができる
展示室3「安宅コレクション韓国陶磁 粉青尚白」展示風景より、《粉青粉引 簠》
展示室5「李秉昌コレクション韓国陶磁 優艶質朴」展示風景より、重要美術品《粉青象嵌 蓮花文 角杯》

 出展作品382件のうち《油滴天目茶碗》《飛青磁 花生》といった国宝2件も特別展示。《油滴天目茶碗》は、その特徴でもある斑紋と光彩をより美しく見せるための専用ケースで、360度鑑賞することも可能だ。

展示風景より、国宝《油滴天目茶碗》専用展示ケース
展示風景より、国宝《油滴天目茶碗》

 もうひとつの国宝《飛青磁 花生》は、「自然採光展示室」で展示されている。これは、展示ケースのなかに天窓から自然光をとりこんだ世界唯一の展示室であり、同館のこだわりのひとつだ。青磁の微妙な色合いや質感を引き出す自然光で、作品の本来の美しさを堪能してほしい。また、ほかの展示室には自然光により近いという紫のLED照明も設置されている。

展示室10「安宅コレクション中国陶磁 天青無窮」展示風景より、国宝《飛青磁 花生》
展示室10「安宅コレクション中国陶磁 天青無窮」。古来より、青磁の鑑賞は「秋の晴れた日の午前10時ごろ、北向きの部屋で障子一枚へだてたほどの日の光で」と言われているようだ

 ほかにも、《油滴天目茶碗》にそっくりなハンズオンコントローラーを動かすことで、高精細3DCGの《油滴天目茶碗》を画面上でじっくり鑑賞することができるインタラクティブな展示コーナーや、館内随所には大阪市立東洋陶磁美術館の新キャラクターも登場。東洋陶磁美術館の原点に立ち返りながらも、現代ならではの挑戦が見受けられる本展をぜひじっくりご覧いただきたい。

展示風景より、「国宝を感じる:体感!国宝『油滴天目茶碗』」
展示風景より

編集部

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