国立新美術館で「DESIGN MUSEUM JAPAN展2024」が開催へ

日本各地に存在する優れた「デザインの宝」を発掘し、ネットワークを試みる展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN展2024~集めてつなごう 日本のデザイン~」が、今年も東京・六本木の国立新美術館で開催される。会期は5月16日〜26日。(2024年5月8日情報を追記しました)

 日本各地に存在する優れた「デザインの宝」を発掘し、ネットワークを試みる展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN展2024~集めてつなごう 日本のデザイン~」が、今年も東京・六本木の国立新美術館で開催される。会期は5月16日〜26日。2022年の様子はこちら

 本展では、昨年度に6人のクリエイターらと各地で探したデザインの宝が紹介される。今年の参加クリエイターと選定地域は、竹谷隆之(造形作家 [北海道])、小池一子(クリエイティブディレクター [秋田])、名久井直子(ブックデザイナー [山形])、片岡真実(キュレーター/森美術館館長 [愛知])、永山祐子(建築家 [滋賀])、永積崇(音楽家 [愛媛])。

2022年の展示風景

 北海道出身で漁師の家庭に育ったという竹谷は、かつてニシン漁業に使用されてきた漁船に着目。その船尾に施された、船大工による個性あふれた彫刻絵模様「化粧板」を紹介する。

留萌(北海道)リサーチの様子・漁船の化粧板(積丹町美国)

 小池は、秋田県羽後町に赴き、西馬音内盆踊り(1956年に国の重要無形民俗文化財、2022年にユネスコの無形文化遺産に登録)の衣装をリサーチ。音や踊りの神秘性を際立たせる装束の魅力にせまるものとなる。

西馬音内(秋田)リサーチの様子・西馬音内盆踊り衣装

 名久井は、山形県の鶴岡市関川集落で伝統織物「しな織」の生産現場を訪ねた。雪国から生まれたユニークな糸づくりに焦点を当てることで、その根源的な部分の解像度をあげるものとなる。

寒河江(山形)リサーチの様子・超極細モヘア糸のニット

 自身も愛知県出身である片岡は、代表的な窯場で産業陶器の名産地「日本六古窯」のひとつである知多半島の常滑に足を運んだ。「旧帝国ホテル」(1923年竣工)に使用された「すだれレンガ」や、ケーブルなどを土中で保護する電らん管を用いてつくられた「電らん管ハウス」(1955年頃竣工)に注目し、その関連性を紐解いていく。

常滑(愛知)リサーチの様子・産業陶器の産地

 永山は、滋賀県大津市坂本にある石垣職人集団「穴太衆」の本拠地を訪れ、比叡山延暦寺や里坊を守っていたという堅牢な石垣の数々を目の当たりにした。自然の石をほとんど加工せずに積み上げる「野面積み」という工法をはじめとした、その高い技術力を取り上げ紹介する。

大津(滋賀)リサーチの様子・穴太衆の石垣

 永積は、愛媛県内子町で建物の軒下に残る「こて絵(左官職人がこてを使い、漆喰で立体的に描いた浮彫)」に注目。左官が仕事をくれた施主へのお礼としてつくられたというこて絵から、左官と施主が互いに贈り合った「気持ち」にフォーカスする。

内子(愛媛)リサーチの様子・こて絵が施された土蔵

 また、会期中には参加クリエイターらによるギャラリートークも実施される。申込不要、自由参加となっているため、タイミングが合えばぜひこちらにも参加してみてほしい。

 なお、公式ウェブサイトにはこれまでリサーチされた地域の情報や動画などが掲載されている。自身の地域にはどのような「デザインの宝」があるのか、これを機に目を向けてみるのも良いだろう。

編集部

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