20世紀を代表するシュルレアリスムの画家サルバドール・ダリの作品収蔵数がアジア最大級の規模を誇る、福島・北塩原村にある諸橋近代美術館。同館が、作品修復に支援を求めるクラウドファンディングを「READYFOR」にて始めた。
ゼビオホールディングス株式会社の創業者・諸橋廷蔵が個人コレクションを寄贈したことによって誕生した同館。「生まれ故郷 福島の美しい自然と作品をゆっくりと鑑賞してもらいたい」「故郷の子供たちに美術作品をたくさん見てもらいたい」という諸橋の想いによって、自然豊かな福島県の景勝地である裏磐梯・五色沼入口にて1999年に開館した。
同館では、ダリの作品346点を所蔵。なかでも、ダリの彫刻は39点におよび、世界でも類を見ない数だ。ダリ作品を収める美術館としては、ダリ劇場美術館(スペイン)、ダリ美術館(アメリカ)に次いで世界で3館目、アジア最大級の規模を誇る。
クラウドファンディングの実施背景について、同館はコロナ禍以降、入館者数の減少や、人件費や原材料費の高騰などにより、作品の保存活動がままならない状況だとしている。「作品や文化を次世代に継承していくために、当館の活動に皆さまのお力をお借りできれば幸いです。これからも福島の美しい自然と美術作品が楽しめる美術館として、未来に“感動”を伝えていくために、皆様からの温かいご支援を心よりお待ち申し上げます」。
目標金額は800万円。10月30日の期日まで募った資金を、2024年4月30日までにダリの初期作品《キャバレーの情景》(1922)と《リャネの野菜畑/庭の少女たち》(1919-21)の修復に充てる予定だ。
支援コースは、1万円〜100万円の様々なコースがある。支援金額に応じ、クラウドファンディング限定オリジナルデザインの招待券やこけし、学芸員によるギャラリーツアー付きの曽原湖でのテントサウナとアート鑑賞の体験などのほか、北塩原村の自然を活かし、ダリの好物・ザリガニ料理を食す体験型リターンが贈られる。