2021.12.22

アーツ前橋の作品紛失について前橋市が被害届を提出。追加調査で高まる盗難の可能性

アーツ前橋の作品紛失について、前橋市が12月20日付けで前橋署に被害届を提出した。

アーツ前橋

 群馬・前橋のアーツ前橋が借用した6作品を紛失したことについて、前橋市が12月20日付けで前橋署に被害届を出したことがわかった。22日に上毛新聞が報じた。

 アーツ前橋は収蔵を視野に入れた作品調査の過程で、借用した6作品を紛失したことを2020年11月に公表。本来保管場所として想定されていなかった旧前橋市立第二中学校の特別教室棟にあるパソコン室に保管していた6作品を紛失したことが、2020年1月から2月にかけて確認されていた。

 2021年3月には、作品紛失の原因や対応について調査委員会が調査報告書をまとめ、館長の住友文彦と担当学芸員が、紛失作品を除いたリストの制作や、紛失作家の展覧会開催の提案などを検討していたことを指摘。いっぽうですでに退任を発表していた住友文彦館長(当時)は反論会見を開き、館長を退任した。 その後、アーツ前橋の今後を考える委員会「アーツ前橋あり方検討委員会」が6月より5回にわたり開催され、今後のあり方についての提言書を市長に提出することになっている。

 調査報告書では作品の紛失理由について、機械警備の発報や窓ガラスが割れるなど侵入の形跡がないことなどから、作品調査等の作業過程において紛失したか、学校備品の撤去作業時に学校備品と一緒に廃棄されてしまった可能性を指摘していた。

 上毛新聞の報道によれば、市はその後も追加調査を継続。作品調査の補助にあたった元臨時職員ならびに、不用備品と作品との仕分け作業をした元学芸員への聞き取りを実施。また、当時撮影された写真による作品保管状況の比較を行い、作品が持ち出された可能性が高いと判断して被害届を提出したという。

 市はこれまで、盗難での被害届を提出していないことについて、紛失から報告までの時間が経っているために多くの証拠が失われており提出が難しいと説明していた。いっぽうで独自に調査を続けていることも「アーツ前橋あり方検討委員会」では報告されていた。