現代美術の世界でもっとも重要な賞のひとつであるターナー賞。2021年の受賞者は、北アイルランド・ベルファストを拠点とするアート・コレクティブ「アレイ・コレクティブ」に決定した。
今年のファイナリストは、同賞史上初のアート・コレクティブのみによる構成。アレイ・コレクティブに加え、ブラック・オブシディアン・サウンド・システム、クッキング・セクションズ、ジェントル/ラディカル、プロジェクト・アート・ワークスの5組が選出された。
審査委員長はテート・ブリテンのディレクター、アレックス・ファーカーソン。アーロン・セザール(デルフィナ財団ディレクター)、キム・マカリース(グランドユニオンプログラムディレクター)、ラッセル・トヴェイ(俳優)、ゾエ・ホイットリー(チゼンヘール・ギャラリーディレクター)の4名が審査員を務めている。
審査委員会は、アレイ・コレクティブの受賞作は「北アイルランドに影響を与えている緊急の社会的・政治的問題を、ユーモアと真剣さと美しさをもって表現した、希望に満ちたダイナミックな作品だ」としつつ、「アレイ・コレクティブが自分たちの活動や価値観をギャラリーの空間に反映させ、居心地の良い、没入感のある、驚きに満ちた展示を実現したことに感銘を受けた」と評価している。
またすべての入選作品について、審査委員会はイギリス全土のコミュニティと密接に連携した作品だとし、「分断された時代に示された連帯感と寛大さを反映している」と述べている。
受賞者には2万5000ポンド、ほかのファイナリストにはそれぞれ1万ポンドの賞金が授与される。なお2022年1月12日まで、イギリス・コヴェントリーにあるハーバート・アート・ギャラリー&ミュージアムで5組のファイナリストの作品を紹介する展覧会が開催されている。