2020.5.28

新型コロナの影響で今年のターナー賞が開催を取りやめ。賞の代替として「ターナー奨学金」を発表

新型コロナの影響で、主催するテートが2020年のターナー賞の開催を取りやめることを発表した。賞の代替として、10人のアーティストに授与される「ターナー奨学金」を設置する。

テート・ブリテン ウィキメディア・コモンズ(Rept0n1x, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11291827)より

 テートの主催により実施されてきた、イギリスを拠点とする現代美術作家を対象としたターナー賞。毎年、世界的にも注目を集める同賞が、今年は新型コロナウイルスの影響を考慮して実施されないことが発表された。

 ターナー賞は、これまで、アニッシュ・カプーアやアントニー・ゴームリー、ダミアン・ハースト、ヴォルフガング・ティルマンスなど、多数のアーティストが受賞。昨年は史上初めて、最終候補者のローレンス・アブ・ハムダン、ヘレン・カモック、オスカー・ムリーリョ、タイ・シャニが全員で共同受賞することとなった。

 テートは今年のターナー賞を取りやめる代替として、10人のアーティストに1万ポンドを授与する「ターナー奨学金」の実施を発表。同奨学金の受賞者は、6月末にターナー賞の審査員によって選ばれる。

 テート・ブリテンのディレクターで、ターナー賞審査委員長のアレックス・ファーカーソンは次のように述べている。「新型コロナウイルスによるギャラリーの閉鎖や市民の行動の自粛が、アーティストの生活に大きな混乱をもたらしている。ターナー賞の展覧会を開催することはこの状況では現実的には不可能なので、より多くのアーティストを支援することにした。かつて自分の財産を残してアーティストを支援することを計画していた(賞の名前の由来になっている)ウィリアム・ターナーも、この決断に賛同してくれるはずだ。ターナー賞がないことに失望している人もいると思うが、2021年にまた復活することを楽しみにしたい」。

 すでに今年のターナー賞の審査員は、ノミネート作品を選ぶ準備のために多くの展覧会を訪れており、賞の基準に沿って奨学金授与者を選ぶという。